第20章 新しい家族を作りましょう
「だけど僕は幸せだよ。なりゆきはどうであれ、朱音と一緒にバスケが出来る。そして愛する美愛と愛希にも興味をもってもらえた。これ以上嬉しい事はないくらいにね」
『それはあたしもだよ、征ちゃん。2人の前でかっこ悪いところなんて見せられないね?』
「当たり前だ。それに僕達が負ける事なんてあり得ないよ。だけどいくら少しやっていたとは言え、体は相当鈍っている。覚悟しておくんだな。愛する妻とは言え、手を抜くなんてあり得ないからな」
『征ちゃんこそ何当たり前の事言ってるの?いくら監督とは言え、納得がいかなかったら遠慮なく言うからね?』
「『…クスッ』」
一度は離れたバスケ。だけどバスケがまた繋いでくれた。今度はあたし達家族を。
皆の元に戻ると、早速茉実が深夜遅いというのに現監督に電話をしていた。電話を代わってもらい、征ちゃんと一緒に挨拶をすると、涙をながしてまで喜んでくれた。練習は3日後から。征ちゃんは対局の日だけは棋士の方を優先させてくれるように頼んでいた。あたしはお兄ちゃんに頼めば問題はない。
電話を切ると、美愛と愛希の世話をしてくれる人のローテーションを組んだ。皆率先してやってくれて、すんなりと決まった。
『皆、本当にありがとう。あたし達がこうしてまたバスケを出来るのも、皆がいてくれたおかげだよ。本当にありがとう』
「僕からも礼を言う。お前達には本当に感謝している」
「…何を言ってるのだよ。赤司、お前の頼みなんて今まで何回も聞いてきたんだ。昔と何も変わらないのだよ」
藍「そうだよ。私達はずっと朱音に助けられてきたんだから。これくらい恩返しでも何でもないよ」
皆の言葉に涙が出た。そしてもう一度ありがとうと伝える。
あたし達のバスケの道は、世界にまで進んだのだ。