第20章 新しい家族を作りましょう
「ごちゃごちゃ考えすぎなんスよ。バスケも監督もしたいなら遠慮する事もなくやればいいじゃないッスか!あんたらは好きで結婚した夫婦でしょ!」
「…涼太、さっきも言ったが僕らはもう親なんだ。身勝手な行動は許されない」
「何のために俺らがいるんスか!」
『涼君…』
涼君の顔からは笑顔が消え、昔真剣にバスケに取り組んでいた顔そのものだった。
「俺らはまだ親になった事はないッスよ。今の美愛と愛希に2人が必要だってのも分かるッス。けど今しかないのは2人も同じじゃん!それに…俺はただ見たいんスよ。赤司っちの指示を出す姿やも、朱音っちのプレイする姿も」
「…俺も黄瀬に賛成だ。俺達はもう働いてる奴も多い。いくらでも世話は出来る。大体夜は帰って来るんだろ?問題ないじゃねぇか」
大ちゃんも言ってくれた。それから皆も面倒を見てくれると言ってくれる。征ちゃんと顔を見合わせると、どうやら思った事は一緒らしい。
「美愛」
『愛希』
「『おいで』」
眠っているはずの2人は確かに扉の向こうで聞いていた。まさか起きていると思っていなかった皆は、あたし達の視線を追って扉を見た。そしてゆっくりとその扉が開かれる。現れた2人はしっかりと手を繋ぎ、心配そうな顔であたし達を見た。もう一度おいでと言うと、2人は走ってやって来た。美愛は征ちゃんに、愛希はあたしに抱き着いてくる。
愛希「ママ、ばすけってなに?」
『バスケってのはね、昔パパとママがやってたボールをつかうスポーツなんだよ。走ったり、ボールを投げたりするの』
美愛「いまでもすきなの?」
「好きだよ。忘れられないくらいにね」
美愛、愛希「「パパ/ママよりも好きなの?」」
「『ママ/パパと同じくらい好きだよ』」
やっぱり同じ思考回路で、お互いにクスリと笑う。
「バスケはパパとママを会わせてくれた大切なものなんだ。それに、ここにいる全員ともね」
愛希「みんなばすけしてたの?てつくんも?」
「…なぜ僕だけ疑われたのかは納得出来ませんが…そうですよ、僕達全員バスケをしていたおかげでここにいるんです」
バスケのおかげ。あたし達がここにいるのは、あたし達が繋がれたのは紛れもなくバスケのおかげ。