第20章 新しい家族を作りましょう
「…俺は反対だ。美愛と愛希はまだ幼すぎる。今日の反応を見ても分かった。2人には赤司と朱音が必要だ」
「いいんじゃねーの?まだ小さいガキだけど美愛も愛希もしっかりしてるし」
凜子「何たって赤司君と朱音の子だもんねー。そりゃしっかりもするよー」
藍「いくら親がこの天才2人でも子供は子供だよ。そんなに簡単に答えなんか出せるわけないでしょ?緑間君の言う通りだよ」
あーだこーだと討論が始まる。お酒も入ってるせいか、なかなか声も大きい。これじゃあせっかく寝た美愛と愛希が起きてしまう。
「静かにしろ。美愛と愛希が起きたらお前達全員3か月出入り禁止だ」
征ちゃんの一括に一気に静かになる部屋。相変わらずの統率力だけど、昔に比べて言葉も言い方も、雰囲気も柔らかくなったとあたしは思う。
『クスッ…3か月だけでいいんだ』
「…あまり来ないと美愛も愛希も寂しがるだろうからな」
「赤司君も、かなり丸くなりましたね」
茉実「ほんと。昔とは全然違う」
『征ちゃんも、もう"パパ"だからね』
幸せの空気が漂うのが分かる。照れてしまったのか、征ちゃんはあたしとの距離を0にするまでに近付いてきて、あたしに体重をかけた。
「話を戻そう。朱音、君はバスケがしたいんだろう?」
『…征ちゃんは監督がしたいんでしょ?』
あたしの考えも征ちゃんの考えも、昔からどうしても分かってしまう。だからこそ返事に困る。
「僕は監督に興味はないよ。…強いて言えば」
『あたしのチームの監督がしたい、でしょ』
「…やはり分かっていたんだな」
征ちゃんはまだ高校生の時に一度だけあたしに言った事がある。朱音と一緒にプレーするのは無理だから、せめて監督という立場でもいいから一緒にコートに立ちたい、と。
『あたしだってもう一度バスケがしたいよ。茉実と同じコートで、征ちゃんと一緒に。だけどあたしがやりたいって言っても征ちゃんは遠慮して辞退するでしょ?だから答えは決まってる』
美愛と愛希にもバスケ、見せたかったな。だけどそれはただの我が儘。
『ごめん、茉実。やっぱりお断りさせてもらいま…』
「何言ってるんスか、2人とも」
『…涼君?』
あたしの言葉を遮ったのは、涼君だった。