第20章 新しい家族を作りましょう
美愛と愛希の誕生日パーティは無事に成功した。皆からの心のこもったプレゼントに心から喜び、ケーキに無我夢中でかぶりついた2人は、はしゃぎ疲れ満腹になった事もあり、今では夢の中にいる。
大人たちは残ったご飯を肴に、お酒を飲んでいる。
「あーもう本当に可愛すぎッスよー!連れて帰りたいッス~!」
茉実「そんな事したら赤司君に殺されるよ~?」
「朱音1さんも黙ってないと思いますよ」
凜子「私も子供ほしいー!」
「結城の場合はまず相手を探さなければならないのだよ」
捺美「緑間君、凜子も彼氏作ろうと必死なんだよ」
凜子「なっちゃん!ひどい!」
歳を重ねてもあたし達の関係はあの時から変わらない。初めて会った中学2年の頃から。
「…やっぱりあの頃を考えると、今のこの関係が信じられないなー」
優希「あの頃?」
「中学3年の時、全国3連覇を果たした頃、かな」
さつきの言葉に皆が昔を思い出す。キセキの世代である彼等がバラバラになったあの頃。あたしが彼らを避けたあの頃。
「…確かにそんな事もあったけどよ、もういいじゃねぇか」
「そうだね~。今こうして皆一緒にいるわけだし」
藍「無事に私達にとっても大切な2人もすくすくと成長してるしね」
雅「で、そのご両親の2人は何に悩んでいるんですか?」
「『…え?』」
雅の言葉を皮切りに、全員の視線が集まる。そして征ちゃんと目を合わせる。そっか。征ちゃんも考えてたんだ。あたし達は茉実に言われたバスケの話を説明した。
茉実「ごめん…私のせい、だよね」
『そんなんじゃないよ。本当に嫌だったらすぐに断ってるし。征ちゃんもそうだよね』
「あぁ。神守のせいではない」
「何で迷ってるの~?やればよくない?」
優希「そんなに簡単な話じゃないでしょ?2人は親なんだから」
そう。あたし1人だったら多分、もう答えは出てた。けどあたしと征ちゃん2人が…となると、大きな問題が発生する。
あたし達はもう、"親"なのだ。