第20章 新しい家族を作りましょう
「父さんも。仕事残ってたんだろ?」
征父「仕事よりも何倍も大切な用事だ。問題ない」
征ちゃんはあれからお義父さんとお酒を酌み交わしたらしい。それでわだかまりは少しずつ減っていき、今では父上から父さんと呼び方も変化した。
愛輝「あー!じいじにばあば、じいじいもいる!」
母「あらあら!もうこんなに喋れるようになったのね!ばあばだよー」
茉美「ハイスペック夫婦の子供ですからね。どうぞ、こちらです」
父「やぁ、茉美ちゃん。久しぶりだね。邪魔するよ。美愛はどこだ?」
征父「征十郎、今夜一杯どうだ?もちろん、真太郎君達も一緒に」
「分かった。真太郎達には僕から言っておこう」
お義父さんは嬉しそうに歩いていく。途中迎えにきた愛輝に手を引かれながら歩くと、最初に会った時の固い印象を打ち消すほど嬉しそうだった。それは隣の征ちゃんも一緒。
『…行こっか、征ちゃん!』
「…あぁ、行こう。朱音」
お母さんと茉美、優希の4人でご飯を1番広い部屋に並べていく。皆が来る前に作っていたため、時間はかからなかった。
『はぁ!?ちょ、え…はぁぁぁぁ?』
茉美「お願い!監督にも頼まれてるんだってー!ね、親友を助けるためだと思って!」
『いや、あたしも仕事あるし。何よりもう動けないし、母親になったんだけど?』
茉美からの急なお願いは、バスケの世界大会に日本代表で出てくれとの事。
優希「やってみれば?何より朱音のバスケする姿、もう一度見たいし。それにジムで体動かしてるんでしょ?」
『それはそうだけど!でも…』
「やってみたらどうだ?」
『征ちゃん!』
いつの間にか腕組みをして扉に寄りかかっていた征ちゃん。
「家の事なら僕でも出来る。ご飯とかは心配するな。美愛と愛輝にも見てもらいたい。それにバスケ、やりたいんだろ?」
あたしは仕事が休みで、美愛と愛輝が保育園に行っているとき、大ちゃんとかを誘ってよくバスケをしていた。征ちゃんに隠していたわけじゃないけど、やっぱ知ってたんだね。
『…分かった。ありがとう、征ちゃん。茉美、その話引き受けるよ』
茉美「ありがとう!だけどあの~…そのですね。赤司君には監督をやってほしいんだけど…」
「『…………は?』」
とりあえず今日は美愛と愛輝の誕生日であることから、この話は一旦保留ということになった。