第20章 新しい家族を作りましょう
今日は美愛と愛輝がこの世に生まれてきてくれた、大切な日。
「『ただいま』」
美愛、愛輝「おかえりなさい!」
美愛が征ちゃんに、愛輝があたしに抱き着いてくる。小さい体で必死にしがみついてくる姿を可愛いと思うと同時に、その力強さに寂しい思いをさせたんだなって思う。愛輝を抱き上げ、ぎゅっと抱き締める。
『ただいま。ごめんね、お留守番させて』
愛輝「へーきだよ!美愛もいるし、みんなもきたから!」
「おぅ、邪魔してるぜー」
「もう、大ちゃん!仮にも一応警察なんだから、昼間からお酒なんて飲まないでよ!あ、おかえりなさい!」
『ただいま、さつき。もう皆いる?』
「黄瀬がじゃんけんに負けて買い出しに行ったのだよ。それ以外は全員いる」
「あ、朱音ちーん。例のもの冷蔵庫入れといたよー。一応ちゃんと確認しといてねー」
『ありがとう、あっ君。涼君は…まあいっか。そのうち帰ってくるはず』
時刻は午後7時前。お兄ちゃん達もそろそろかな?と思ってたらインターホンが鳴る。
兄「よっ!間に合ったか?」
美樹「お邪魔します。わ、何回来ても立派なマンションだよねー」
『うん、間に合ったよ。お兄ちゃんお金遣い荒いから、美樹さんがちゃんと紐握っててくださいね?お父さん達は?』
愛輝「ともくんだー!みきちゃんもいるー!」
ドタドタと走ってきた愛輝を軽々と持ち上げるお兄ちゃん。ちなみに美樹さんは現在妊娠8ヵ月。
兄「お!愛輝、またおっきくなったか?智君だぞー、愛輝は元気だったか?」
愛輝「うん!美愛もげんきだよ!」
愛輝にこっちだよー!と引かれながら歩くお兄ちゃんは嬉しそうだ。でもこういう場面でつくづく思うことがある。美愛のことだ。
「美愛はテツヤと水瀬に本を読んでもらっているぞ」
『そっか。美愛も特別人見知りってわけじゃないんだけどね』
「あれは僕の性格だろうな。その分愛輝は朱音似だ。僕の責任だ」
『誰のせいとかじゃないよ。あれが美愛の個性であって、それがどうなるかは誰にも分からないよ』
「…フッ、そうだな」
すると再びインターホンが鳴る。
父「遅くなってすまない。もう始まっているか?」
『大丈夫だよ、お父さん。お母さんも走ってまで急がなくていいのに』
母「だめよ!可愛い孫のためですもん!」