第20章 新しい家族を作りましょう
「それもあるが、僕達がこんなにも愛し合っていれば、影響を受けてもおかしくはない」
征ちゃんはあたしの肩をゆっくりと抱いた。
ピンポーーーン
突然のチャイムに少しだけビクリと肩が震えた。
愛輝「誰ー?」
「涼くんスよー」
愛輝の呼ぶ声に、扉の向こうから聞きなれた声が聞こえた。もうそんな時間か、と思いながら腰を上げる。後ろから征ちゃんも着いてくる。
『いらっしゃい、涼君。早かったね』
「早く会いたくて来ちゃったッス!お邪魔しまーす!」
「涼太だけか?」
「そっスよー!少しでも美愛っちと愛輝っちを独り占めしたくて早く来たんスわ」
涼君は愛輝に手を引かれながら美愛の元に行く。ちょうどいいか。
『征ちゃん。涼君も来たことだし』
「そうだな。涼太、僕達は少し出てくるから美愛と愛輝の事頼めるか」
「えっ!?むしろいいんスか!?俺は全然OKっスけど!」
愛輝「ボクもいく!」
『うーん…愛輝、ちょっとだけ涼ちゃんとお留守番しててくれるかな?すぐ帰ってくるから』
愛輝「やだやだ!ボクもいく!うわーん!」
しまった。愛輝を泣かせてしまった。いつもなら連れていくけど、今日はちょっと特別な日。
美愛「だめだよ、愛輝。わたしたちはきょうはおるすばん。りょうくんもいるからへいきでしょ?」
愛輝「み、美愛は行かない?ボクといっしょにいる?」
美愛「わたしは愛輝といっしょだよ。ほら、パパとママにい
ってらっしゃいしよう?」
愛輝「パパ、ママ、行ってらっしゃい!ボク、美愛とりょうちゃんとおるすばんしとく!」
『ありがとう、美愛、愛輝。それじゃあ涼君、あとはお願いね。皆もすぐ来ると思うから』
涼君に2人の事を任せると、征ちゃんと手を繋いで出掛けた。久しぶりのデート。高校も離れていて、卒業してもすぐに就職。そして21歳で親となったあたし達は、あまりデートというものをしたことが無かった。まだ23歳、同級生達はまだ遊んでいる人が多い。
「…朱音、君が今考えている事なんとなく分かる。後悔はしていないが…すまない」
『なんで謝るの?確かにこういうのもいいなって思ったよ。けどあたしだってこの人生の選択に後悔はしてない。だって今幸せだもん』
「朱音…そうだな。僕も同じだ。それじゃあ行こうか」
あたし達はオモチャ屋さんに向かった。