第19章 あたし達は大人になった
赤司父「まぁ座りたまえ。せっかくの朝食が冷めてしまう」
「朱音、そっちに座って」
『あ、はい…』
朝食にしてはかなり豪華でボリュームのある食事を口に運ぶ。この空間に会話は無い。そしてやばい事にもうお腹が一杯だった。けど残すわけにはいかないし…
「朱音、無理して食べなくてもいい。女性にはこの量はキツイだろう」
『…ごめん』
「気にするな、その気持ちだけで十分だ」
『…うん、ご馳走様でした』
赤司父「…朱音ちゃん」
『はいぃぃぃ!』
赤司父「フッ、そんな緊張しなくてもいい。征十郎から君の事は聞いているよ。私も君の事を高く評価している。実際に見てもそう思ったよ」
『あ、ありがとうございます…』
「父上、今日は大事な話があります」
征ちゃんの空気が変わった。ついに言うつもりなんだ。あたしはグッと見えないように拳を硬く握った。
「僕は朱音と結婚します」
赤司父「…お前達はまだ20歳になったばかりだ。少し早いんじゃないか?」
「それも考えました。けれど僕は早く朱音と家族を作りたい。互いに職もあります。僕は本気です」
赤司父「…朱音ちゃんと少し話がしたい。征十郎、お前は自分の部屋に戻っていろ」
「…分かりました。じゃあ朱音、また後で」
征ちゃんは同じように静かに戻って行った。この広すぎる部屋にはあたしとお父さんが2人。やばいやばいやばい!緊張する!
赤司父「朱音ちゃん」
『はい!』
赤司父「息子は…征十郎は君の前ではどんな感じなのか教えてくれないか?」
思ってもみなかった質問に、あたしは鳩が豆鉄砲食らったような顔をしていただろう。お父さんが軽く笑う。