第19章 あたし達は大人になった
征ちゃんと初めて繋がった。少し、いやかなり痛かったけど、それよりも喜びの方が大きかった。征ちゃんは何回も愛おしそうにあたしの名前を呼んでくれる。
「朱音、愛してる」
『うん、あたしも』
「赤司の姓をもらってくれるか?」
『…はい!』
その夜は同じ布団で、手を繋いで2人で寝た。
そして翌日。高校からの習慣で朝6時には目が覚めた。征ちゃんはまだ隣でぐっすりと眠っている。あどけない表情がまだ感じられるその寝顔は、とても可愛かった。
『ありがとう、征ちゃん』
あたしはトイレに行くべく立ち上がる。征ちゃんは起きている。けど征ちゃんは優しいから寝てるふりをしてくれた。あたしは夢を見たのだ。とても悲しい夢を。朝起きたら目が濡れていたのは夢と連動したせいだろう。それを気付かないふりをしてくれた。
トイレを済ませ洗面所を借りて顔を洗い部屋に戻ると征ちゃんの眼は開いていた。
「おはよう、朱音。よく眠れたか?」
『おはよう、征ちゃん。ぐっすり眠れたよ』
「それならよかった。朝食は父上と一緒にとるからな。その時に結婚の話をしようと思っている」
『…いきなりハードル高いね。あたし初対面なんだけど』
「気にしなくてもいい。父上には朱音の話はしている。きっと気に入ってくれるはずだ」
征ちゃんは口づけを落とすと、いつの間にか洗濯してくれていたあたしの服を渡してくれた。部屋を借りて着替えると、征ちゃんと一緒に食堂へと向かった。
「失礼します、征十郎です」
赤司父「…入れ」
音もなく襖を開けた征ちゃん。長いテーブルの一番奥に座る人が征ちゃんのお父さんなんだろう。どことなく征ちゃんに似ている。赤髪はお父さん譲りか。じゃない!
『は、初めまして!征ちゃん…じゃなくて!赤司征十郎君とお付き合いさせていただいてます、若槻朱音と言います!』
赤司「…そうか、君が朱音ちゃんか…」
お父さんの目がギラリと光った気がした。