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It’s a miracle!!!

第19章 あたし達は大人になった


不思議と俺の心は落ち着いていた。朱音ちんは俺の女にはならない、心のどっかでそう思っていたのかもしれない。

「あ、朱音ちんだー」

『あっ君!どうしたの?こんな遅くに』

「それは朱音ちんもでしょー?」

『あ、そっか!』

朱音ちんは可笑しそうにクスクスと笑う。今、俺がこの想いを伝えれば、朱音ちんはどんな表情をするのかな。

「あのねー、朱音ちんの事考えてた」

『あたしの事?』

「うん。だって俺、朱音ちんの事大好きだし。お菓子よりも、何よりも」

あ、やっぱ哀しそうな顔させちゃったな。朱音ちんは俺とこんな関係になる事を望んでいなかったのだ。朱音ちんは赤ちんを選んだ。それは俺にはどうする事も出来ない事実。

『…あたしね、あっ君がバスケを続けるって言ってくれた時、本当に嬉しかった。勘違いって、自惚れだって言われてもいいから1つだけ聞かせて。あっ君がバスケを続けてくれたのは、あたしも少しは関係してる?』

本当は知っていた。俺がバスケをする度に朱音ちんは嬉しそうに喜んでくれた。俺がバスケをすれば朱音ちんが喜ぶ。それだけで俺は嫌いだったバスケも好きになっていた。

「…うん。朱音ちんの俺がバスケをしてる時の見る目、大好きだった」

『そっか。ありがとう。バスケを、あたしを好きでいてくれて』

分かってた。俺を見る目と赤ちんを見る目が違う事くらい。分かってたんだ。けど俺は見ないふりをした。けど朱音ちんは変わらず俺を見てくれた。それだけで幸せだった。

「赤ちんはああいう人だけど、本当は凄く優しいんだ。離れてもお菓子送ってくれたし」

『…そうだね』

「だから絶対に朱音ちんを幸せにしてくれるよ。だから朱音ちんも赤ちんを幸せにしてあげて」

『あっ君は優しいね』

「別に普通だしー」

朱音ちんは好き。本当なら俺が幸せにしたかったし、赤ちんにも朱音ちんを好きな気持ちは負けない自信がある。そしてそれはこれからも無くならないだろう。だけど同じように、俺は赤ちんも好きだった。いつも俺を気にかけてくれたお兄さん的な存在。とても大切な存在。

だから

その2人が幸せになるんだったら、俺は喜んで身を引くよ。
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