第6章 合宿
基礎練習は特に外全体から見てアドバイスを、ということはあまりないため、あたしも練習に集中する。
藍「…朱音!朱音!!」
藍の声にハッとなり我に返る。やってしまった。あたしが集中すると周りが見えなくなってしまうってことは、お気づきの人は分かると思う。まさに今それだ。そして時計を確認する。まだ基礎を初めて30分しか経っていない。
『あ、ごめん。どうしたの?まだ終わるには早いけど』
「やぁ、若槻。奇遇だね、こんなところで会うなんて」
そこには少し不機嫌な赤司君と、その奥で嬉しそうに手を振るさつき、そして帝光中男バスの人たちがいた。
…ナンデ?
帝光中の登場に気が付いていた他の部員は自然と手が止まっていた。どうやら気付かずに黙々と一人でドリブルをしていたようだ。恥ずかしすぎて穴があったら入ってその中で思い切り叫びたい、切実に。
『あああ赤司君!?あ、一旦休憩!体冷やさないようにして、きちんと水分をとるように!』
「「「「「「「「はい!」」」」」」」」
「お前たちは柔軟をして各自アップをしておけ」
「「「「「「「「うす!」」」」」」」」
藍「朱音、タオルとドリンク…」
『ありがとう、藍』
藍からタオルとドリンクを受け取ると、汗を拭いてドリンクを飲んだ。
「凄い集中力だな。まさか僕たちが来たことに気が付かないなんて」
『ごめん。あたし没頭しちゃって周りが見えなくなるんだ』
「気にすることはない。それが君の長所と言ってもいい。それより髪、部活中はくくっているんだな」
『あ、うん。伸びちゃったからね。柔軟、手伝おうか?』
帝光の他の部員たちは柔軟を始めているのに赤司君は大丈夫だろうかと思い声をかけると、色の異なる両眼を少し開くとすまない、頼むと言った。