第6章 合宿
『ごめん、藍。柔軟手伝ってくれる?』
申し訳なさそうに藍に尋ねるともちろんと逆に喜んでやってくれた。そして柔軟をしながら藍に今日の出来事を簡単に話す。
藍「へぇ、帝光のバスケ部のマネージャーってそんな熱心な子だったんだ。私、帝光に友達いるんだけど、その子からはあまり…というか全く良い話は聞かなかったからさ」
『そんなものだよ。特に女の子は色恋には必死だから』
藍「もしかして、朱音も!?」
『あたしの恋人はバスケだよ。だからあたしも恋人に夢中』
藍「良かった!本当に良かったぁ!」
『何で藍が安心するの。あたしのオカンか!』
藍にありがとうと言い、柔軟を終える。練習前に柔軟をしすぎると、100%の力が発揮できないとお兄ちゃんに教えてもらった。そして隣の空いているコートで十分にアップを行った。
アップを終え藍の元に行くと、藍に名前を呼ばれた。大丈夫、言いたいことは分かってる。
『集合!』
あたしが集合をかけると全員がハッとしたようにこちらへ来た。
『とりあえず、遅れてすみませんでした。私用で遅れるなんて頭が上がりません。本当にすみませんでした』
頭を下げると主将!という声が部員からあがる。
『ありがとう。けど一つだけ。皆全然気持ちが入ってないよ。あたしに言う資格は無いけど、その調子じゃ予選でも負ける。それでもいいの?良いわけがない。ということで今から追い込むためにいつもの練習メニューを5倍でこなす!返事!』
「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」
それからは皆集中して課題をもって取り組めていた。5倍はさすがにきつかったが、皆終わってみればまだまだいけるという顔をしている。成長しているのだ、確実に。その後は合宿初日ということもあり、基本練習を徹底的に行った。