第18章 そしてWCは伝説となる
そしてあっ君に征ちゃんからの伝言を伝える。
『あっ君』
「んー?何ー?」
『征ちゃんがね、今度京都に遊びに来い。例のお菓子の店に連れて行ってやる。また連絡する、だって』
「本当?赤ちんに後でメールしとこ~」
『そんなに美味しいお菓子なの?』
「うん。今度朱音ちんにもあげるよ」
『ありがとう、楽しみにしてるね』
話している間にも試合は進んでいく。そしてついに残り4分で海常にとって絶体絶命、15点差がついた。ベンチにいた涼君がついに腰を上げる。
監督「黄瀬待て!まだ早い!」
「嫌ッス、俺は出る!」
監督「まだ4分ある!今のお前の足で2分以上無茶をしたら後々まで影響が出る可能性が…」
「監督、エースはチームを勝たせるのが仕事ッスよね。今行かなきゃエースじゃない。もし行かなかったら絶対後悔する。だって俺海常(このチーム)、好きなんスもん」
涼君はユニフォームの上に着ていた服を脱いだ。エース、か。いつの間にか涼君は海常のエースとして立派に成長していた。涼君だけじゃない。キセキの世代と呼ばれた全員が新しいチームのエースとして成長している。技術的にも、人間的にも。そしてそれは幻の6人目、テツ君も変わらない。そのテツ君も涼君と同じタイミングでメンバーチェンジをしてきた。
兄「おいおい、テツも出るのかよ。大丈夫か?」
梓「ファントムも破られたままだし…」
優希「それにまだ15点差ある。いくら何でも早いんじゃ…」
『だからこそだよ。追いつめられたキセキの世代ほど怖いモノはない。テツ君が1番彼らの怖さを知ってる。だからこそ、残り4分はエースと6人目に託された』
「いててっ、押すなってさつき!」
「早く!試合終わっちゃう!」
『?』
聞きなれた2人の声に後ろを見ると、大ちゃんとさつきの姿があった。気付くように手を振ると、2人は少し小走りでこちらにやって来た。