第18章 そしてWCは伝説となる
あたしの不安を確定付けていくように開始24分で誠凛のリードが広がっていった。そしてそれはまだ続く。
宗助「すげぇ…海常ってトコも相当強いんだろ?その海常相手にこのプレイ…誠凛めちゃくちゃ強ぇじゃんか!」
辰也「黄瀬君抜きの海常を止めるには、今の誠凛にはタレントが揃いすぎている」
優希「高密度の3Pと精神的支柱。クラッチシューターで主将、日向順平」
藍「イーグルアイによる正確なパスと高速ドライブをしとめる爪をもつPG、伊月俊」
捺美「並外れた大きい手による後出しの権利と片手リバウンド。無冠の五将の1人、木吉鉄平」
茉実「天賦の跳躍力を持つ未完の大器、火神大我」
雅「控え選手も少ないながら質は高い」
『さらに視線誘導を応用した技を駆使し神出鬼没、幻の6人目、黒子テツヤも控えている』
辰也「1人としてフリーには出来ない。まして今の大我は2人がかりでも止める事は至難だ。どうする、海常…」
しかし海常はこのまま来るだろう。今の大我君相手にダブルチームは全く効果がないわけじゃない。マンツーやゾーンよりは遥かに動きを制限できる。笠松さんが涼君の足の事を知らないわけがないから、少なからず想定内だっただろう。点を取れるだけ取り、真でも食らいつく。これがベストな選択だ。
笠松さんがフルドライブで伊月先輩を抜くも、イーグルスピアに捕まったように見えた。が、笠松さんは体を張って繋ぐ。そして最後はリバウンドを無理矢理押し込んで決めた。さすが全国常連の海常高校、1人1人の質はかなり高い。が、それ以上に連携が巧い。
水希「やっぱさー、1回勝ってるんだから油断してんじゃね?」
『それはないよ。てっちゃんが言ってたけど、誠凛と海常が公式戦で戦うのは初めてだって。いくら練習試合で勝っても、あくまでそれは練習の中での話。本番で勝たなきゃ意味がない。って…はぁ』
コートの中に目を戻すと何やらてっちゃんと日向先輩が言い合いをしていた。緊迫した試合のはずが、一部だけギャーギャーと騒がしい。しかしただの喧嘩のために時計が止まる事もなく試合は進んでいく。