第18章 そしてWCは伝説となる
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―「あ、朱音っち?写メ見たっスか!?」
『うん、見たよ。いいなー、笠松さんと同じチームだなんて』
―「えっ!?朱音っち、先輩の事知ってるんスか?!?」
『そりゃ同じポジションで、全国でも有名な選手だからね』
「俺達や朱音っちの方が有名じゃん」
涼君の様子がおかしい。最初こそは笠松さんを自慢しているようだったのに、今では少しふてくされているように感じる。
『何かあったの?』
―「…うー、朱音っちぃー!その笠松先輩ってかなりの体育会系なんスよ!中学の時は先輩って言えばそんなにガツガツしてこなかったし…1.2年早く産まれただけでそんなに偉いんスか!?」
『そうだねぇ、あたしは尊敬してるよ。確かに1.2年しか歳は変わらないと思うけど、その分だけそのチームで必死に戦ってきている。それはどうしてもあたし達後輩に抜ける数字じゃないそ、その事実も変わらないからね』
―「…朱音っちも笠松先輩と同じような事言うんスね。けど俺にはまだ納得いかねーッスわ」
『涼君の中に少しでも変化が現れれば今はそれで十分だと思うよ。けどその笠松さんをあたしに見せてくれたのは、もっと違う理由があるんでしょ?』
「…さすが朱音っち。笠松先輩が言った事で1つだけ気に入った事があったんス。お前はもう海常1年黄瀬涼太だって。帝光中キセキの世代の黄瀬涼太ってのよりもなんとなくしっくりきた気がしたんスよね」
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あたしは携帯をしまい誰もいないコートの中に視線を落とした。次第に涼君は海常のあのチームが大好きになっていったと言う。そのチームを勝たせたいと思うのはエースであればもちろんの事、チームに存在している者全員にある気持ちだ。
そして第3Qが始まった。