第18章 そしてWCは伝説となる

藍「誠凛と海常はお互いにライバルと認め合っているんだね」

優希「この試合、楽しみだね」

『うん！誠凛とキセキの世代の試合ばかりはどっちも応援したくなっちゃうよ』

そう言ってる間に試合開始の笛が鳴った。

茉実「黄瀬君のパーフェクトコピーの事を考えると、誠凛は先行して逃げ切らなければならない。…だよね？」

茉実の言う通り、テツ君がバニシングからファントムという必殺技2連発で先制点を決めた。

『確かにそうだね。けどあたしが海常の監督だったら…すぐにパーフェクトコピーを少し使うかな』

あたしの言葉と同時に、涼君は真ちゃんの3Pをエンドライン近くから決めた。

「試合前に火神っちが言ってた事で、1つだけ心外があったんスわ。誰がいつ丸くなったって？」

あっ君のブロック、真ちゃんの3P、大ちゃんのチェンジオブペース。1つ1つでも協力すぎるのに複合までされてしまった今、誠凛に手の打ち所はなかった。大我君が野性によって止めようとするが、征ちゃんの天帝の眼によって引き起こされたアンクルブレイクにより、大我君は足元を崩された。

凜子「天帝の眼まで！？」

『瞬間に相手の動きの模倣を可能にする精密な観察眼に加え、今までの試合で培った経験則、そしてセンス。征ちゃんのように100％じゃないけど、それに限りなく近い精度で未来を視る事が出来る』

辰也「どの技も足りない要素を違う要素で補い再現している。厳密に言えば全く同じではない。…だが偽物（フェイク）と呼ぶにはあまりにもレベルが高すぎる。パーフェクトコピー、まさに無敵だ」

『今までの傾向から開始直後で大我君がゾーンに入る事はないです。それにダメージはこれだけじゃすみません』

テツ君のファントムの前に涼君が立つ。ファントムは例えシュートコースを塞がれてもパスに切り替える事が出来る。が、今の相手はキセキの世代の技が全て使える涼君だ。涼君はファントムを止めた。

花帆「黒子君のファントムが…」

『見えなくてもボールは飛んでる。だから撃つ方向が分かれば止められるの。征ちゃんの天帝の眼で撃ち出し角度を先読みし、あっ君のブロックによって軌道を封じる。見えないままで力ずくで止めたの』

あれから約３分、涼君はパーフェクトコピーを使い続け、誠凛が一瞬取ったように見えた主導権を奪ってみせた。