第18章 そしてWCは伝説となる
洛山対秀徳との試合が終わり、息つく間もなく次なる激闘は幕を開ける。誠凛と海常は淡々とアップを始める。
兄「鉄平に聞いた。昔練習試合で誠凛は海常に勝ったんだろ?その時夏に再戦を誓ったけど、誠凛は予選で負けてIHには出れず、約束は果たせなかった。つまりこれは因縁の対決だ。これで合ってるよな?」
『うん、どうして?』
兄「いや、なんかそれにしては静かすぎて…」
するといきなり涼君はレーンアップ、大我君とテツ君はレーンアップアリウープを決めた。それにより会場もやっと盛り上がりを見せる。お兄ちゃんも心なしか楽しそうに見えた。そしてそれはお兄ちゃんだけじゃなくここにいる全員、そしてコートの中の選手全員がそうだった。そしてもちろんあたしも。
花帆「朱音、何か楽しそうだね」
『実は少し前に涼君、テツ君、大我君、てっちゃんからメールもらってね』
あたしは画面を見せた。
"あの日生まれて初めて試合に負けた悔しさ、今日まで一度も忘れた事ないッス。けどそのおかげで1つ気付いたんス。俺はやっぱバスケが好きっスわ、それこそ俺の全てを懸けられるくらいに。だからもう絶対負けねー。だから朱音っち、ちゃんと見といてくださいっス!"
"やべぇ、俺今すげーウズウズしてる。さくっと勝ってくるからよ、応援しとけよ!"
"僕はガラにもなく、黄瀬君の事をライバルだと思っていました。朱音さんにとって片岡さんがそうであったように、やはりライバルには負けたくありません。黄瀬君が入部してあっという間に僕を抜いてしまった時、才能が違うと分かっていてもやはり悔しかったです。だから今日こそは必ず勝ってみせます。朱音さん、最後まで見ていてくださいね"
"俺は練習試合の時いなかったが、海常とやるのはすげぇ楽しみで仕方ないよ。前にも言ったが、俺は朱音が味方でいてくれるのなら絶対に負けない。だからちゃんと応援しとけよ。智也さんやおじさん、おばさんにもよろしくな"
皆にメールの内容を見せると、皆も同じように嬉しそうに笑った。