第18章 そしてWCは伝説となる
勝った、か。勝って当然、優勝以外は全て失敗だ。絶対に負けてはならない。それが帝王が帝王であるための宿命だった。整列が終わると真太郎がやって来た。
「真太郎」
真太郎は自らの心を落ち着かせると握手を求めてきた。
「負けなのだよ。だが次は必ず、秀徳が勝つ」
「…僕からは礼を言うよ、真太郎。久しぶりにスリルのある試合だった。…だが悪いがその握手は受け取る事は出来ない」
言葉にした瞬間に胸が痛むのを感じた。だが大丈夫だ。そう朱音が言ってくれたのだから。
「勝利を欲するのならもっと非常になれ。勝利こそが全てだ。僕はお前達の敵である事を望む」
「…そうか。変わらないな赤司…あの時から。だがそれでも次は勝つのだよ」
変わらない、か。確かにそうかもしれない。僕がそう望んだのだから。ベンチに戻るとバックに入れておいたブレスレットとリングを身に着ける。少しでも朱音を感じたかった。不思議と心が落ち着いていく。今すぐにでも会いに行きたいが、僕にはまだやる事が残っている。玲央達に行くぞと伝え、ベンチを後にした。そしてミーティングが終わる頃には、すでに誠凛対海常の試合は始まっていた。