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It’s a miracle!!!

第18章 そしてWCは伝説となる


高尾君がダブルチームを抜き、シュートモーションに入っている真ちゃんへとパスを出す。

「言ったはずだ、絶対は僕だと」

だけどそれは征ちゃんによりカットされ、そのまま速攻が決まった。やはり征ちゃんはこの連携シュートの欠点に気付いている。

水希「パスカット…またあの眼を使ったのか!?」

『眼を使ったのはほんの一瞬だけだよ。高尾君がパスを出すよりも1歩速く、かつキャンセル出来ない瞬間に征ちゃんが動き出すためにだけね』

雅「たったそれだけで止めてみせたって言うの!?」

『このシュートの欠点は2つ。1つは左利きである真ちゃんのシュートに合わせるためには、左手側からしかパスを入れられない事。もう1つはボールを持っていなくても真ちゃんのシュートモーションはいつもと同じ事。つまり眼を使わなくてもパスコースもタイミングも分かってしまう。ダブルチームもわざと征ちゃん側に抜かせる事によって、征ちゃんとの距離を縮める事が狙いだったの』

辰也「だがそれにしても高尾君はホークアイで赤司君の位置も認識していたはずだし、速さだって前半で…はっ!」

『その通りです。高尾君の認識していた速さでは1歩速く動いたぐらいじゃ届かない。だから征ちゃんは真ちゃんも気付かないギリギリな範囲で前半の速さをわざと緩めていたんです』

梓「身体能力や才能に頼るだけでなく、恐ろしく緻密にデザインされたプレイ…これがキセキの世代、赤司征十郎…」

OFの起点であった3Pが破られ、試合は洛山の一方的展開となった。だけど秀徳は誰1人諦める事無くくらいついた。

「赤司…!」

「…改めて敬意を表する、真太郎。そして秀徳高校。最後まで誰1人闘志を失わなかった。…だが、届かない。眠れ、歴戦の王よ」

征ちゃんのシュートを最後に試合終了のブザーが鳴った。結果は86対70。

「16点差…まーこんなもん~?内容的にはもっと競ってもおかしくなかったけどね~」

だけどあたしは何とも言えなかった。確かに洛山は強い。征ちゃんのオウンゴールの後のチーム全体の集中力は圧巻の一言だった。無冠の五将の破壊力に加え、征ちゃんの統率力。だけど征ちゃんはもちろん、あれは洛山の本気ではない。あたしはその事実に少しだけ胸が痛んだ。
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