第18章 そしてWCは伝説となる

辰也「つまり緑間君も天帝の眼を体感するのは初めてであり、やはり賭けに出ないと勝てないと悟ったわけか」

優希「事実あのシュートは強力かつ赤司君に効果的な技ですが、命中精度は著しく犠牲にしています。仮に天帝の眼がここまで脅威じゃなかったら使わなかったはずです」

兄「けどまぁ、賭けに出た甲斐はあったんじゃね？今までずっと涼しい顔してた赤司の顔色が変わった」

だけどこのシュートには欠点がある。征ちゃんがそれに気付かないわけがない。そのためにも今取れるだけ点を取っておく必要がある。

真ちゃんは体勢を崩された後にすぐ立ち上がりブロックに跳ぶ。倒れて起き上がらない事こそが恥、そう言わんばかりに。征ちゃんは巧くかわすが最後は真ちゃんの3Pが決まる。そしてボールマンである征ちゃんに真ちゃんと高尾君がついた。が、征ちゃんは自身のゴールにシュートを決めた。

宗助「自殺点…？」

静かになった会場に征ちゃんの怒りを含んだ声が聞こえる。

「僕がいつ気を抜いていいと言った、試合はまだ終わっていない。一時大差をつけた事で緊張感が緩んだか。たかが数ゴール連続で決められた程度で浮足立ったのがいい証拠だ。もっと僅差であればこんな無様な姿を晒す事はなかったはずだ。ならばいっそ差など無くしてしまった方がマシだ。少し頭を冷やせ」

征ちゃんの言葉に玲央さん達洛山の顔がみるみる曇っていく。征ちゃんの言っていることはいつも正しい。それ故に自分に対する苛立ちがあるんだろう。

「…だが、もし負けたら好きなだけ僕を非難しろ。敗因は僕の今のゴールだ、全責任をもって速やかに退部する。…そして罪を償う証として両の眼をくり抜いて、お前達に差し出そう」

「「「「『！？』」」」」

葉山「何言ってんだよ赤司！そこまでする事ねぇだろ！」

「負けたらの話だ、勝てば問題ない。心配などしていない。なぜなら僕は確信している。お前達がいて負けるはずがない」

征ちゃんの言葉は本気だ。皆に聞かれても多分本気だよ、としか答えられなかった。

兄「どっちにしても、鼓舞としての効果は絶大だったようだ。洛山の選手達の顔付が変わった」

お兄ちゃんの言葉通り洛山の動きが変わり、完全に立ち直った。そしてついにその時は来た。