第18章 そしてWCは伝説となる
真ちゃんがボールを持っていないのにも関わらず、シュートモーションに入ったのだ。そして調度良いタイミングで高尾君からのパスが真ちゃんの手に収まり、そのまま3Pを撃ってゴールへ。
辰也「確かにあの高さなら例え未来が視えてもカットできない。だが、難しいとかそういうレベルの話じゃないぞ、今のは!」
梓「決めた緑間君も凄いけどそれだけじゃない。構えた位置に正確にパスを入れるなんて…あれが秀徳のPG」
「…こんなの今までのミドちんだったら考えられないね~」
辰也「…?」
「ミドちんは本来絶対の自信を持ったシュートしか撃とうとはしない。けど今のシュートはどんなにパスが正確でも通常のシュートより、やっぱり精度は落ちる」
『いくら征ちゃんに勝つためとは言え、外れる事を覚悟したシュートを撃つなんて、よっぽど仲間(チームメイト)を信頼してないとしないはずだよ』
母「嬉しそうね、朱音」
お母さんの言葉にうん、と返事をする。そして真ちゃんは2本連続3Pを決めた。
「ミドちん…」
宗助「形は違うけどよ、誠凛と似てるな」
『そうだね。あれはまさに。秀徳の光と影だよ』
「勘違いするなよ、赤司。秀徳はまだ死んでいない。勝負はこれからだ」
「想定以上だ、真太郎。…そうでなくては」
征ちゃんは楽しそうに、かつ怪しく笑った。
水希「けどなんで今までやらなかったんだ?」
『と言うより、ここまでが真ちゃんの書いていたシナリオだったんだよ』
「中学の時俺らは練習中に本気出すなって言われてたし」
花帆「何で?本気出さなきゃ練習にならないじゃん」
兄「中学生ってのはまだ体ができてねぇんだ。キセキの世代の大きすぎる力にはまだ追いつけていなかった」
『それに試合中解放できる時間も今よりずっと短かった。そのため全員の手の内は知っていても直接本気で戦った事は無い』