第18章 そしてWCは伝説となる
試合は秀徳ボールから始まり、高尾君の的確なパスによりいきなり真ちゃんの3Pが決まった。
「全て正しいだと?笑わせるな赤司。勝った事しかないような奴が知ったような口をきくなよ。…来い赤司、約束通り教えてやる。敗北を」
「…へぇ」
試合は静かに進む。だけど真ちゃんのプレイは明らかに前見た時とは違っていた。昔のように1人でバスケをしていない。
「ミドちんスクリーンの使い方上手くなったな~」
茉実「本当!あそこまで慣れるのに、相当練習したんだろうね」
茉実の言葉にあたしは微笑む。真ちゃんは変わってくれた。今の真ちゃんなら征ちゃんにも負けるはずがない。…そう言いたいんだけど…
辰也「敦…彼は本当にお前と同じチームの主将か?」
「…?そーだけど」
梓「確かに巧いですね」
『梓!?』
梓「どうも!私も一緒に見てもいい?」
『え、うん。別にいいけど…皆もいいよね?』
凜子「さっきやった相手と並んでみるのも変な話だけど、朱音がいいなら私達もいいよ」
捺美「それよりさっき言ってた事、少し引っかかるんだけど」
梓「あ、それはですね、スキルもあるし視野も広い。PGとしての完成度はさすがの一言です。けど手も足も出ないほどの実力差でもありません。これがあのキセキの世代の主将、赤司征十郎ですか?」
征ちゃんの試合を初めて見た人達は多分、梓と同じ意見を持っている。あれだけキセキの世代が騒がれ、その確かな実力を間近で見てきた人達からしてみれば、今の征ちゃんが癖のある彼らをまとめてきた上、あの帝光で主将をやってきた人のプレイたとは思えないだろう。そんな中、お父さんが口を開いた。
父「…今の赤司君のプレイは将棋を連想させるな。今はまだ序盤の探り合いと言ったところだ。そして局面が動くとしたらそろそろだな。まぁバスケの事はよく分からんが」
『ううん、正しいよお父さん。征ちゃんは決して手を抜いているわけじゃ無い。まだ彼は…眼を使っていない』
花帆「…眼?」
そして第1Qが終了した。