第18章 そしてWCは伝説となる
「なっ!朱音っちがF!?」
「確かに朱音ちゃんは昔Fだったけど…」
「朱音だけじゃない、全員がポジションを変えているのだよ」
「…やるじゃねーか、朱音」
花帆「え?何々、どういう事?」
「見た通り、藤ヶ咲の攻撃パターンは誠凛と酷似している。そのおかげで得点は互いに離れなかった。その打開策として朱音が選んだのがこの全員のポジションチェンジだ。こうする事で誠凛は全く別のチームへと変わる。朱音らしい面白い戦略だ」
「けどそれって大丈夫なの~?朱音ちんはともかく、他の奴らはやった事ないんでしょ~?」
「いや、そんな無鉄砲の作戦なら朱音がやるはずがないのだよ。おそらく何回かは試している」
真太郎の意見と僕は同意見だった。あの朱音が考えていないわけがない。そしてこの作戦は成功したかのように点差は開いていった。人が変われば動きも変わる、藤ヶ咲はついていけなかった。そしてTOをとり、あけた頃には同じようにポジションを変えてきた。
「藤ヶ咲はどんだけ誠凛好きなんスか、もー。真似しすぎッスよ」
「それ、人の模倣が得意のきーちゃんが言っちゃダメだよね」
それからは第1Qと同じく点の取り合いになった。このまま逃げ切る策もあるが、それは安全な策とは言えない。どうする、朱音?第2Qが終わり、10分間のインターバルを挟む。桃井の元に1本の電話が入った。テツヤからのようだ。
「というわけで、テツ君にバッシュの事で頼まれたから行ってくるね。朱音ちゃんの応援、私達の分までよろしくね!gほら、行くよ大ちゃん!」
「はぁ!?何で俺もなんだよ!1人で行けよ!」
「大ちゃんが行かなきゃ意味ないの!大ちゃんの家にも寄らなきゃだし」
「はぁ!?」
桃井と大輝は去ってしまった。それによってすっかり和んでしまったこのインターバルは雑談へと化した。