第18章 そしてWCは伝説となる
「ならすでに遅かったな。朱音はもうこんなイイ男に出会ってしまっているからな」
『…ぷっ!それ自分で言っちゃう?』
「…違うのか?」
征ちゃんはムッとしたように呟く。何だかそれも可愛く見えてしまうあたしは、どっぷりと征ちゃんにはまってしまっているのだろう。
『違くないよ。征ちゃんは最高にイイ男だもんね』
あたしの言葉に満足したのか、征ちゃんはあたしを皆の元に向かわせた。勝つのを楽しみにしているよ、と一言だけどあたしにエールを送ってくれた征ちゃんは、やっぱり優しかった。そして控室に行き、皆に今日の戦略を伝えながら柔軟とアップを行う。そして時間になり、体育館へと移動した。
梓「あ、朱音ちゃん!おはよう、今日も可愛いね!」
『市谷さん。おはよう、昨日メール返せなくてごめんね』
梓「気にしないで!私が朱音ちゃんに送りたかっただけなんだから!それよりも市谷さんなんて堅苦しい呼び方やめて、梓って呼んでよ!もっと仲良くなりたいし!」
『分かった、梓。今日はよろしくね』
梓「朱音ちゃんに梓って呼ばれた…もう死んでもいい…けどせっかく朱音ちゃんと試合出来るんだもん、今日は頑張っちゃうよ!」
また試合でね!と言い残し、梓は藤ヶ咲の元に走って行った。蘭さんがこちらを向いたので、軽く会釈をしておく。そしてあたし達もアップを始めた。
茉実「今日は凄い人だね。皆の家族はもちろん、健さんもきてるし」
捺美「あ、片岡さんもいるよ~」
雅「キセキの世代も誠凛男バスもいる!それにキセキの世代のチームメイトも!」
優希「汐音先輩に香代先輩もいるわ」
凜子「花帆ちゃんと石黒君、麻耶もいる!ってかB組全員いる!?」
藍「鈴城中の時の友達もいるよ!あれ愛海ちゃんじゃない?」
『あ、白河さんもいる…さ、皆集中集中!いくら知人がたくさん見てても、あたし達がやる事は変わらないよ。はい、練習再開!』
残り5分、あたし達は集中力を高め、練習を続けた。