第18章 そしてWCは伝説となる
乗客「ちょっと、あれ洛山の赤司君と…」
乗客「ああ、誠凛の朱音ちゃんだ」
乗客「誠凛は東京だから分かるけど、洛山って京都でしょ?何で電車なんかに?」
乗客「赤司ってキセキの世代だろ?帝光中は東京だから実家にでも帰ってたんじゃねーの?」
乗客「でも何で2人でいるんだ?やっぱりあの噂は本当だったのか?」
乗客の声は静かな電車の中で十分にあたし達まで届いた。征ちゃんとあたしは同時に溜息をつき、顔を見合わせ2人で笑った。会場の近くともなるとあたし達の事を話す人は更に増えた。2人で話した結果、言わせておけばいいという事になった。無事に茉実達と合流し、征ちゃんと別れる手前で懐かしい声に呼ばれた。
?「朱音!」
遠くから大きな声で叫ばれたその声は、周りの人達を振り向かせるには十分だった。
『水希君!?』
水希「朱音!久しぶりだな!またまた可愛くなっちゃってー!」
久しぶりに会った水希君は、人目も気にせず堂々とあたしを抱きしめた。周りからは一際大きなザワザワした声が聞こえ、茉実達誠凛メンバーは開いた口が塞がらないようだった。そして征ちゃんからはピシっという音が聞こえ、固まってしまっていた。
『ちょ、水希君!皆見てるから!』
水希「えー、いいじゃねぇか。超久しぶりに愛する朱音に会えたんだから」
「…朱音、この男は何者だ」
水希「…は?アンタこそ朱音の何?見た所ただの選手のようだけど?」
「…何だと?」
『わー!もう、ちょっとストップストップ!ちゃんと紹介するから』
あたしの言葉に2人は一旦距離をとる。周りの人達も興味が湧いたのか、ジリジリと近付いてきている。まだ人が少ない朝で良かったなと思いつつ、あたしは2人を紹介した。