第18章 そしてWCは伝説となる
リビングに着くと朱音の両親と兄である智也さん、それに誠凛の木吉がすでに座っていた。指定された席に座ると父親に挨拶を行い、いただきますと全員で言い食事をとった。暫く無言で箸を進める。正直重苦しい空気が流れていた空間を、朱音の父親が破った。
父「…赤司君、だったな。鉄平から話は聞かせてもらったよ。あの帝光中キセキの世代の主将だったんだってな。そして今は洛山の主将でもある」
「はい、おっしゃる通りです」
母「あなた、あまり赤司君を威嚇しないでください。ごめんね、赤司君。お父さん、朱音を嫁にとられると思って心配してるのよ」
『ぶふぉっ!ちょ、嫁って何よ!あたしまだ高校生なんだよ!?』
兄「バカヤロー!高校生ってのはなぁ、もう立派な大人なんだよ!それにあと2年も経てばけけけけ…結婚だって出来るんだぞ!」
なんだ、そういう事か。中学の文化祭の時に智也さんに初めて会った時から極度のシスコンだと思っていたが、父親まで溺愛だったとは。だが確かに朱音が娘や妹だったのなら、僕も同じ事になっているだろう。だけど僕は朱音を手放すつもりもない。
「もちろんそのつもりです」
『…はい?』
「もちろん僕は朱音さんとの結婚を考えてます。今すぐというわけにはいきませんが、近い将来の話です」
母親は口に手を当てて微笑み、父親と智也さん、そして木吉の顔から表情が消え、心に亀裂が入った音を聞いた。
『ちょ、征ちゃん!何言ってんの!?』
「僕は本気だ」
『いや、だからって今言わなくても…』
父「赤司君」
「はい」
父「娘はこういった反応だが?きちんと朱音の事は考えているのかね?」
「もちろん考えてます。実を言うと、まだ朱音さんと交際すらしていません。このWCが終わり次第告白の返事を貰う約束をしています」
父親は朱音の方を見て、朱音も恥ずかしそうに頷き肯定した。智也さんと木吉は固まったままだった。