第18章 そしてWCは伝説となる
『涼君は無事に勝ったよ。綾、どんな感じ?』
茉実「朱音…それが…」
茉実の顔が晴れない。そんな凄いプレイでも身に着けたのかと思い、楽しみにコートを見る。けどそこであたしは固まってしまった。
「…そんな、片岡さんのチームが負けてる…?」
綾のチームが負けている、テツ君の声が頭の中を回る。そしてブザーが鳴り、綾のいる立翔は負けた。綾を見ると茫然としているのが分かる。そしてそれはあたしも一緒だった。藍が気まずそうに話しかけてくる。
藍「相手は藤ヶ咲高校、新潟の高校なの。ここ最近…というより全く目立ったチームじゃない。IHにも出てないし。それがこのWCで頭角を現したチームなの」
『それが何!?それでも綾は…綾が負けるはずないじゃない!』
「朱音さん、落ち着いてください。立花さん達に怒っても意味ありません」
『テツ君…そうだね。ごめん、藍。皆も』
凜子「それは全然良いんだけど…」
捺美「あのね、朱音ちゃん。落ち着いて聞いて。藤ヶ咲にも朱音ちゃんがいるの」
『…え?』
雅「そういう反応するのも分かる。けど私達が言うんだから間違いないよ!」
優希「ちょっと、朱音が困ってるでしょ。捺美と雅は言葉が足りないのよ。あのね、朱音。正確には朱音そっくりな子がいるの」
『あたしに…そっくり?』
コートの中にいる藤ヶ咲の選手を見る。すると1人の女の子がずっとあたし達を…いや、あたしを見ていた。
茉実「あの6番の子なんだけど…」
茉実が教えてくれた6番の子は、ずっと見てくるあの子だった。容姿や身長は似ていないと思う。けれど髪色や長さなど、真似出来る部分全てがあたしにそっくりだった。