第18章 そしてWCは伝説となる
灰崎「あーダメダメ。そりゃもうお前のモンじゃねぇよ」
涼君が最初に模倣した時に感じた違和感の正体が分かった。灰崎のプレイを無意識に描いてしまったのかもしれない。けどあたしは似たようなプレイでも、灰崎のプレイは嫌いだ。
藍「朱音…そろそろ立翔と藤ヶ咲(ふじがさき)の試合が始まるけど…」
『もうそんな時間か…』
あと5分もすれば綾のいる立翔と、新潟代表の藤ヶ咲との準々決勝が始まる。本来なら次の対戦相手が決まる試合は見に行くべきなんだけど…
『ごめん、皆だけで見てきてもらってもいいかな?あたし、この試合だけは最後まで見たいの』
優希「…そう言うと思ったわ。心配しないで、私達だけでも分析してみせるから」
凜子「そーそー!それに注意すべき片岡さんの事は、朱音なら知り尽くしてるだろうしね」
捺美「私、ビデオ係やるね」
雅「ほら、なっちゃんもやる気出してるし。私達の分まで応援よろしくね」
『皆…ありがとう』
茉実「大丈夫だよ、朱音。黄瀬君は強いから」
『うん、あたしも心配はしてないよ。ありがとう、茉実』
藍に皆の事を頼み、あたしも試合に集中した。そして涼君対灰崎が何度も繰り広げられた。だけど涼君が今まで戦った技を繰り出すも、全て奪われてしまう。第3Qが終了する頃には51対63となっていた。笠松さんが巧くボールを回し涼君が頑張っているけど、試合が進むほどに海常の技が奪われて攻撃力は下がる一方だった。そして運命の第4Qが始まる。
日向「黄瀬と初めて会った時に火神が使った、フルドライブ→高速ロール→ワンハンドダンク!」
「けど今のリズムじゃ…いつものキレが全くねぇ!」
それも灰崎によってブロックされてしまう。そして次にはさっきの技を灰崎が行い、決めてみせた。