第18章 そしてWCは伝説となる

日向「今でこそその圧倒的な強さで神格化されてる帝光中学校とキセキの世代だが、最初からそうだったわけじゃない。むしろ強すぎるがゆえ逆恨みや反感も強く悪役（ヒール）に近い印象も付き纏っていた。俺らは直接戦った事はないし、あくまで噂程度の知識だが。灰崎の凶暴性はそれを助長していた原因の1つかもな」

気吉「まぁ間違ってはいない…かな？」

小金井「あっ別に黒子を悪く言ってるわけじゃないからな」

「大丈夫です。ただ1つ補足させてもらえば、その印象は未だ完全に払拭されてもいないと思います。決して悪い人達ではありません。ですが…帝光の理念はずっと変わっていませんから」

『…そうだね。けど理念は変わらなくても人は変わるよ。大丈夫だよ、皆なら』

「朱音さん…そうですね」

そして海常ボールで始まったこの試合、5番の森山さんの3Pが決まった。とても綺麗とは言えないフォームと回転がブロックしにくい独特の合間を作っている。自分の撃ち易さを最優先にした事が、結果彼だけの武器になっている。福田総合も負けじと11番のスクープショットを決めた。

「開始から飛ばすな、両チーム。ただ黄瀬はまだボールを持ってねぇが…」

「…いえ、来ます」

茉実「これは…スクープショット！しかもさっきの11番のシュートだよね！」

日向「相変わらずすげーな」

確かに涼君は凄い。けどこの違和感は一体何？そして違和感を残したまま灰崎へとボールが渡る。そして灰崎が撃ったシュートは海常の森山さんと同じ、変則シュートだった。

「なっ…まさか灰崎は黄瀬と同じ…！？」

『ううん、多分似てるだけだと思う。微妙にリズムやテンポが森山さんとは違う…』

「その通りです。灰崎君は黄瀬君同様、見た技を一瞬で自分のものにする。ですが朱音さんの言う通りリズムやテンポだけ我流に変えてしまうんです。見た目が全く同じでリズムが僅かに違う技を見せられた相手は、無意識に自分本来のリズムも崩され、その技を使えなくなる」

森山さんが撃ったシュートはリングに当たり、跳ね返された。

「灰崎君は相手の技を、奪う」