• テキストサイズ

It’s a miracle!!!

第18章 そしてWCは伝説となる


今目の前で朱音は必死に灰崎に付けられた跡を消そうとしている。体は震え、目からは涙が溢れている。ここまで朱音を傷付けてしまったのは僕のせいだ。僕がもっと早く来ていれば。朱音は灰崎を頭の中から消したいのだろう。けれどこの跡がある限りそれは決して叶わない。しかもこれ以上やると朱音の首が傷だらけになってしまう。僕は朱音を抱きしめた。

「朱音…もう本当にやめてくれ…」

『やだ…やだよ征ちゃん…これを消さなきゃあたしは…』

やっと本当の気持ちを言ってくれた朱音。その思いに応えるべく、朱音の首に顔を埋め、跡がある上から同じように跡をつけた。

『!やっ…!』

灰崎の時を思い出してしまったのか、朱音は僕を突き飛ばした。息を荒げ、涙目で僕を捉える。そしてもう一度抱きしめるべく朱音に近づき、ゆっくりと引き寄せた。

「朱音、もうそのマークの所有者は僕だ。その跡は紛れもなく、僕が今つけた。そうだろ?」

『征ちゃん…』

「朱音、今日は守れなくて本当にすまなかった。だがこれからは必ず僕が守ってみせる。だからこれ以上、朱音自身を傷付けないでくれ」

『うん…ごめんね、征ちゃん』

「僕は君に謝ってほしくはない」

『…ふふっ、そうだよね。ありがとう、征ちゃん!』

「やはり君には笑顔が一番似合うな」

朱音は今度は嬉しそうに笑い顔を赤くする。朱音の髪を撫でると恥ずかしそうに下を向く。どんな姿も愛おしい。

『ねぇ、灰崎は征ちゃんに強制退部させられたって言ってたけど、何をしたの?』

「…実力は確かにあったが素行はあの通り評価に値しなかった。それに涼太には遅かれ早かれレギュラーの座を奪われるのは目に見えていた。そうなればプライドの高いアイツはどのみち部を辞める。少しでも早く問題を無くしたかっただけだ」

『そっか。けど灰崎は征ちゃん以外にも涼君に対して想い入れが強かった。次の試合は…』
/ 483ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp