第18章 そしてWCは伝説となる

大我君を支えるようにてっちゃんが後ろから後押ししてブロックは成功。カウンターを仕掛けようとしたにも関わらずあっ君はもう戻っていた。そして仮説は確信へと変わった。あっ君はゾーンに入っている。

茉実「まさか紫原君も…けどこれじゃ火神君に勝ち目はないんじゃ…！」

「しかもとっくに限界もいいとこだ。いよいよ絶望的だぜ」

ここで大我君の目付きが変わった。何かをやるつもりのようだ。

「皆の想いを背負って決めんのがエースだ！限界なんていくらでも超えてやる！」

優希「レーンアップ！？」

『だけどおかしい！この角度じゃ前への飛距離が足りてない…このままだとリングに届かない！』

「だがその分今までとは段違いに高ぇ！」

『聞いた事はある…豪の技とでも呼ぶべき無敵のダンク…流星のダンク（メテオジャム）！』

大我君はダンクを決め、ついに逆転に成功した。残り４秒。浮いてしまった誠凛に対し、陽泉は速攻を仕掛ける。大我君はゾーンが切れ座り込んでいた。あっ君にボールが渡り、ダンクを決めようとしている。が、あっ君は跳べなかった。

藍「もしかしてあの火神君のシュートの時、ブロックに跳ばなかったのは見切っていたからじゃなくて…」

『そうみたいね。今までにない程連続の跳躍をあの巨体でしてきた。その負荷に膝が耐え切れなくなっていたようだね』

だけどゴールはすぐそこにある。放られてしまえばそれで終わりだ。けど彼はそこに走っていた。

「決して意図していたわけではありません。それでもこれは木吉先輩達の執念の結果です。だからこれで終わりだ！」

テツ君があっ君の手の中にあるボールを弾き、試合終了を告げるブザーが鳴った。

花帆「勝った…誠凛が勝った！凄いよ…黒子君も、皆も！」

『テツ君は気付いてた、あっ君が跳べない事を。けど決して確証はなかったし、あっても信じるにはあまりにも低い可能性の出来事だった。それでもなお、１歩に迷いなくブロックに向かった。諦めるって事を知らなさすぎだよ、本当。けど、それでこそテツ君だよね』

「…そうだな」

大ちゃんは少し嬉しそうに言った。あたしは握ったままのピアスを耳へと戻した。そしてお兄ちゃんに勝ったよ、ありがとうとメールを打った。