第18章 そしてWCは伝説となる
言葉には聞いた事があっても見たのはあたしも初めてだった。宙を歩く(エアウォーク)、それを大我君が体現していた。残り3分で4点差の時、陽泉はTOをとった。誠凛側のベンチは良い流れに乗っているようで落ち着いていた。だけど陽泉側は違った。辰也さんがあっ君を殴ったのだ。
花帆「氷室さん、どうしちゃったの!?」
『…多分あっ君の性格上もうやめるって言い出して、それに対して、かな』
「さっき言ってた氷室さんがそれ以前…ってどうゆう事?」
「つーかさつきだって薄々気付いてんだろ。ゾーンに入れるのは選ばれた人間だけだ。俺も最初はもしやと思ったがやっぱ違ーわ。スキルは高ぇ、実力は認める。俺ら5人と朱音に限りなく近いと言ってもいい。だがそれでも秀才止まりだ。いくら強くてもあくまで凡人の延長線でしかねぇ。どれだけ近付こうがけっぢてこっち側に来る事はねぇ」
雅「氷室さん、泣いてる…」
『氷室さんの欲しいモノを持ってるあっ君が勝負を投げようとしてるんだもん。そりゃああたしでも泣いてるよ』
辰也さんの涙を見てあっ君の表情や雰囲気がガラリと変わった。
宗助「チームワークが乱れた今ならもう勝てるんじゃね?紫原ももう出てこねーみてぇだし」
『いや、あっ君は来るよ。それに今までで1番やばそうだし』
それに違う意味で大我君もやばい。ゾーンは消耗も半端ない、最後まで保つのか。それにあっ君だけじゃなく辰也さんも吹っ切れた感じだった。
辰也さんがフェイクを混ぜて侵入しミラージュシュートを撃とうとするが、タイミングを完璧にした大我君が立ちふさがる。けれどここから辰也さんはあっ君にパスを出すが、それにも追いつくのがゾーンに入った大我君だ。だけどここから今まで見る事のなかった光景を目にする。あのあっ君が辰也さんにパスを出したのだ。そしてこれは初めて見る連携攻撃でもある。
「へぇ…初めてだぜ。あんな紫原は」
そして今度は大我君のPGから伊月さんへ。だけどフィニッシュはやっぱり大我君だ。それに確かにあっ君の反応が前より速くなってる。