第18章 そしてWCは伝説となる
木吉―「…なぁ、朱音。チームってのは守るだけのもんじゃねぇんだな。守ってくれるのもまたチームなんだ。チームがあって1人1人がそれを支えてるわけじゃ無く、1人1人がお互い支え合って初めてできるモノ、それがチームなんだな。だからもう二度と揺るがない。俺はやっぱり…」
あいつらとバスケがしたい、そうてっちゃは続けた。ここまで覚悟を決めたてっちゃんを、応援しないわけにはいかない。
『大丈夫だよ、てっちゃん。皆なら、てっちゃんなら大丈夫。あたしが保証するよ。だから胸張って行ってらっしゃい』
木吉―「ありがとな、朱音。やっぱり朱音に電話して良かったよ。じゃあ、行ってくる」
てっちゃんなら大丈夫。だってあんなにも頼もしい仲間がついてるんだもん。皆の元に戻ると第4Q残り4分と少し、8点差までに追い上げていた。が、それ以上に会場の盛り上がりは凄かった。
『ただいま。どうなったの?』
藍「お帰り!あのね、火神君が紫原君を止めたの!」
「けど凄い…あのムッ君を止めるなんて…」
「今の火神を止められるとしたら、同じゾーンに入った奴だけだろ」
「…陽泉側にもその可能性はあるんじゃない?ムッ君か、それと氷室さんならあるいは…」
「…かもな。が、おそらくそれはねぇ」
優希「え?」
『ゾーンに入るための最低条件はその競技に全てを掛けている事、平たく言えばバスケを何より好きである事なの。けどそれはあっ君に唯一欠落しているものでもある。あっ君のエネルギー量はキセキの世代の中でもずば抜けてる。資質で言えばもしかしたら最強なのかもしれないけど、それでもあっ君はゾーンに入れない』
花帆「だったら氷室さんは?彼はバスケも巧いし、バスケ大好きだよ?」
『辰也さんは…悪いけどそれ以前の問題かな』
シンとなった空気を壊すように大我君がレーンアップ。あっ君も跳ぶが、後に跳んだにも関わらず大我君はまだ浮いていた。