第18章 そしてWCは伝説となる
『そう単純なものでもないよ。ゾーンに入る条件は人それぞれ違うし、その条件を満たせば必ず入れるってわけでもない。っけど大我君にとっての条件は何となく察しはつくけどね』
「まぁ火神の意志やチームの意図は何にせよ、ゾーンに入った事に変わりはねぇ。とりあえずこっからの火神は見物だぜ」
ここでリコさんが戻って来た。と同時にあたしの携帯が震えた。画面を見るとてっちゃんからの着信だった。あたしは皆に出てくると告げ、場所を静かなロビーへと移動し通話ボタンを押した。
『もしもし?』
木吉―「あー悪いな、朱音。急に電話したりなんかして。よく気付いたな」
『ポケットに入れてたからね。それよりてっちゃん、今どこ?リコさんに何かしてもらってたみたいだけど』
木吉―「リコに回復マッサージしてもらってたんだよ。景虎さんの直伝らしくてな、すげー痛かったぞ」
てっちゃんは痛いと言いながらも嬉しそうに話してくる。そして誠凛1人1人の話を始めた。
木吉―「伊月はダジャレ好きなのは困るが、本当は人一倍熱心で人の事をよく見てるんだよな。火神は不器用だが本当にバスケが大好きで、今となっては立派なエースになった。黒子は本当に頼れる6人目で何度もピンチを救ってくれたし、あいつの言葉にも救われた。リコは俺も我が儘も聞いてくれて、俺達全員をここまで引っ張ってくれた。そして日向は…いつでも俺の事を信じてくれて、ずっと待っててくれた。俺はあいつらと一緒にやるバスケが大好きだ」
『…てっちゃんの言いたい事は分かったよ。本当は止めたかったんだけど、今のてっちゃんに何言っても無駄そうだしね』
木吉―「…すまん、朱音。俺はどうしてもあいつらと勝ちたいんだ」
『分かった。お兄ちゃんにはもちろん伝えるけど、あたしが上手く言っておくよ』
木吉―「ははっ、すまんな。智也さんに知れたら一大事になるからな」
『けど膝の悪化だけはだめだよ。もし危険だと判断したら試合を止めてでもやめさせるから』
木吉―「…リコにも同じ事を言われたよ」
てっちゃんは少し嬉しそうに笑った。