第18章 そしてWCは伝説となる

そして今、ティップオフ。ジャンプボールはあっ君が捕ったように思えた。が、審判からは誠凛ボールだと告げられた。

宗助「今のはどういう事だ？どう見たって陽泉ボールだろ」

『あれはね、ジャンパーヴァイオレーションって言って、ジャンプボール時にジャンパーがボールが最高点に達する前に触れてしまったの』

けれど何回見てもあっ君のジャンプ力、ウィングスパンには驚かされる。誠凛bp－るで始まったこの試合、初っ端から超高速パスワークで攻めてきた。日向先輩がフリーの状態でパスをもらう。だけどそこにあっ君はいた。距離は十分にあったにも関わらず。次にテツ君による横のロングパス。実際縦のロングパスなら何回も使われているが、選手が密集されたコートを横切るパスは普通使えない。けど誠凛にはテツ君がいる。テツ君によって反対サイドの大我君に通ったパスは完全に意表をついたパスだったけど、やはりあっ君はそこにいた。

花帆「早い！あんな動き普通出来るの？」

『普通はそう簡単になんてあり得ない。けどあっ君のあの長い手足に加え、あの尋常じゃない反射神経がそれを可能にしてるの。その結果3Pラインから内側は全て、あっ君のテリトリーになる』

ブロックされたボールを陽泉が拾いそのままカウンターは成功、先取点は陽泉が捕った。誠凛の2トップ、大我君とてっちゃんがORを捕られるなんて、2ｍの壁は高い。そんな中テツ君のサイクロンパスによりカウンターをしかける。伊月先輩がフリーだけど、目の前にあっ君はいた。

花帆「なっ…紫原君はあそこから動かないつもりなの？」

『あっ君は基本疲れる事はしない。つまり攻守の切り替えが速い展開には持ち込めないの。それはカウンターが使えない。けどそれよりもっと深刻な問題が１つ』

茉実「リバウンドが捕れない…」

宗助「別にリバウンドが捕れなくても全部入れれば問題ねーじゃん？」

『実力や調子で大きく変わるからはっきりと言えないけど、バスケにおいてゴールが決まる確率ってのは5～6割程度。つまり外れた4～5割のリバウンドを確保するのは勝負を左右する重要な要素（ファクター）になるの』

かと言って誠凛にも手がない事もない。ずっとある人が練習してきた技。桐皇戦の時は試合の性質上使う事はなかったけど、今回は重要な戦力となる。