第18章 そしてWCは伝説となる
征ちゃんはあたしの首にかかっている指輪にゆっくりと唇を落とす。自分にされたわけじゃ無いのに、凄く恥ずかしくなった。そしてそれを見て、唇にもしてほしいのか?と笑って征ちゃんは言ったため、すでに赤くなっていたかおが更に温度を上げた。
『ももももうこんな時間!早く応援に行かなきゃ!』
「誠凛の試合だろう?まだ30分もあるじゃないか」
征ちゃんはあたしの反応を見て楽しんでいるようだった。悪戯っ子のように笑う征ちゃんを初めて見た。いつもは大人びた表情しか見せない征ちゃんの、年相応に見えるその顔は、とてもかっこよかった。それからあたし達は時間の許すまで2人で一緒に過ごした。
そして3回戦、第3Q終盤に新潟の古豪、森園北に一時リードを許すが、第4Qにテツ君と大我君を投入した。その結果残り3分で逆転に成功し、そのまま準々決勝進出を決めた。そして翌日、準々決勝が始まる。あたし達女バスは特に危なげなく準決勝進出を決めた。
花帆「さすが朱音!余裕だね!」
『そんな事ないよ。あたし達だって毎試合必死なんだからね。それよりもうすぐ始まるよ』
今日は誠凛対陽泉の試合。辰也さんの事が好きな花帆は最後まで気持ちの整理が出来ていなかったけど、今ではもう誠凛を応援すると意気込んでいる。もし誠凛対洛山になった時、あたしは純粋に誠凛を応援できるのだろうか。例え征ちゃんのバスケが嫌いだとしても。
宗助「んで、今日の相手はどんなタイプなんだ?」
藍「陽泉は2.3回戦とも相手に取られた点は0点なの」
花帆「0点!?2試合とも!?」
『つまり陽泉はDFに特化したチーム。対する誠凛は今大会No.1と言ってもいいほどのOFチーム。この試合は最強の盾と矛対決になるよ』
それに陽泉はあっ君を筆頭に2m越えが3人もいる、そう簡単に点は取れないだろう。だから1点でも多く点を捕るか、今回は初歩的な目標がカギとなる。