第18章 そしてWCは伝説となる
第1Q残り15秒で0対18。ここで止めなきゃ間違いなく致命傷となってしまう。辰也さんのシュートをブロックし、外れたボールをてっちゃんと日向先輩が狙う。けど相手は2m越えの2人。誠凛にとって分が悪い中でも、てっちゃんはバイスクローによって捕ってみせた。
凜子「空中にあるボールを片手で掴んだ!?いくら手が大きいからって…」
『テツ君というパスのスペシャリストが入った今、昔のパスとシュートの2択で戦うスタイルをこれ以上強化する意味はあまりないの。それよりも大事なのはインサイド、特にリバウンドの強化。そのためにてっちゃんは景虎さんと一緒に握力強化をしてきた、それで掴めたの。それにここを守ったのは凄く大きい』
最後のリバウンドで首の皮1枚繋がったまま第1Qは終了した。陽泉のフォーメーションは2-3ゾーン、その上守備範囲の広いあっ君が真ん中にいるせいでインサイドは脅威だ。そのおかげで残る4人も外にガンガンプレッシャーをかけてくる。3Pは狙えるが単発じゃ意味がない。勝つためにはどうしても中から点と取らなければ。
「朱音じゃねーか」
『大ちゃん!さつき!』
上から呼ばれたと思えば、そこに大ちゃんとさつきがいた。スコアを見て驚くさつき。大ちゃんも表情こそ変えないが意外なようだった。
「おーおー、ギリギリもいいとこじゃねーか」
そして誠凛ボールで始まった第2Q。陽泉は迫力のあるDFをしてきた。
優希「凄い…まるで勝負所の圧力…」
「そりゃそーだろ。とどめ刺しに来てんだ、陽泉は」
雅「とどめ?」
『さっき繋がった首の皮を切りにきてるの。20点差になってしまえば勝てる可能性は限りなく少なくなる。この攻めが無得点で終わるようなら、誠凛は負ける』
そしてここでてっちゃんのポストプレー。ターンをするけどそれくらいじゃあっ君はかわせない。ブロックに跳んだあっ君に見せつけるように大我君にパスを出す。見事なコンビネーションだけど、あっ君はまだここからそれに追い付く。最初のブロック時にほとんど跳んでいなかったから。けど大我君はシュートの考えをやめ、テツ君にパスを出した。来る、大ちゃんと一緒に特訓したテツ君のシュートが。