第18章 そしてWCは伝説となる
呟いたのと同時に試合終了の合図が鳴る。そして見違えるはずもなく、あれはあっ君率いる陽泉高校。確かにあっ君から点を取るのは難しい。けどここは全国大会、いくら何でも0点なんてあり得ない。
宗助「うお!すっげー!0点なんてマジであり得るのかよ」
花帆「あれ?けど陽泉って準々決勝で誠凛と当たるんじゃ?」
宗助「…え?」
花帆の言う通り、次勝てば陽泉と当たる。ただでさえあっ君という最強の盾がある上、陽泉には辰也さんもいる。けど先の試合よりまずは目先の試合、とにかく明日の森園北に勝たなければ次は無いのだ。そのままミーティングをロビーでやる事になり移動した。花帆と宗君の希望もあり一緒にミーティングと次のスカウティングを行った。
「あれー?朱音ちんー!」
『あっ君!』
丁度終わった時、下から上がってきたあっ君に呼ばれた。そして辰也さんもやって来る。お久しぶりですと挨拶をすると、辰也さんはにっこりと笑って久しぶりだね、と言ってくれた。
花帆「ちょ、朱音!私にも紹介してよ!」
『あ、こちら陽泉高校2年の氷室辰也さん。大我君と同じアメリカで一緒にバスケをやってて、大我君とは…』
辰也「大我とはもう何もないよ。それよりよろしくね、えーと…」
花帆「相原花帆です!朱音の親友です!あの!次も頑張ってください!私応援してます!」
宗助「え!?誠凛の敵になるのにか!?」
花帆「あ…」
辰也「あはは。花帆ちゃんは面白いね」
「ねー、そんな事よりも俺朱音ちんと話したいんだけどー」
あっ君は駄々を捏ねたように言い、あたしに抱き着いてきた。一見体重がかかっているように見えるこの体勢は、実はそこまで重くない。あっ君なりの気遣いだった。あたしは鞄の中からパイの〇を取り出しあっ君に渡すと嬉しそうに笑った。