第18章 そしてWCは伝説となる
遅い昼食を食べ終えた時には誠凛の試合はすでに始まっていた。先にご飯を食べていた花帆と宗君は、最初から試合を見ていて、人数分の席を確保しておいてくれた。
『ありがとう2人共。試合どんな感じ?』
花帆「それが…」
スコアは31対42で第2Qも残りわずか。テツ君と大我君は出ていない。実力からしてみても先輩達だけで勝てる相手だった。
捺美「あちゃ~。1番最悪なパターンになっちゃったね~」
藍「ま、初の全国大会にあれだけ桐皇と凄い試合したんだもん。そりゃこうなるよ」
宗助「?凄い試合だから波に乗れてるんじゃねーの?」
『そうなるチームはもちろんいるよ。けど勝ったら緩むチームもある。特に桐皇相手に誠凛は夏の予選でボロ負けして、そのリベンジに成功している。人間誰しも完璧な人はいないから、自信がついてしまった今の誠凛の敵は自分自身なの。ま、あたし達も初全国大会の時苦戦させられたから、気持ちは痛いほど分かるんだけどね』
ね?と笑いかけると茉実達は明後日の方向を見ながら、あははと力なく笑った。けど事は思った以上に深刻なのかもしれない。もちろんそれに気付いてないテツ君とてっちゃんじゃないだろう。彼らは全国大会という舞台をきちんと経験している。するとすかさずリコさんがTOをとった。何やら話していたと思うと、会場には乾いた音が鳴り響いた。
凜子「うわー痛そう…」
優希「ま、良い薬に間違いないでしょうね」
『なるほど、そんな手があったとは』
「「「「「「朱音は真似しないで!」」」」」
掌を見つめるあたしに皆は全力で止めてきた。もちろんそんな事しないよ、と伝えれば心底安心したように1つ息を吐いた。TOあけ、頬に紅葉をつけた誠凛は本来の動きを取り戻し逆転に成功、そして勝利を収めた。ちらりと別のコートを見ると洛山も勝ちは確定していた。どうやら征ちゃんは出ていないらしい。もう1つ別のコートでまだ試合が行われていた。スコアは…
『0点…!?』
藍「えっ!全国大会でこのスコアって…一体どこのチームが!?」
『あれは…あっ君…』