第18章 そしてWCは伝説となる
テツ君が大ちゃんに頼みに行き連絡がないという事は、今頃2人で練習しているのだろう。中学の頃のように。
凜子「でも何で今更シュート?」
『シュート力が低いままじゃいずれバニシングドライブは使えなくなるからね』
捺美「何で?」
『テツ君がドライブでペネトレイトして、ヘルプがきて空いたスペースにパス。これが今までの基本パターンなんだけど、もし敵がヘルプに来なかったらテツ君は自らシュートを撃たなければならなくなる。つまりドライブで切り込むって事は、自分で決める事があって初めて本当の脅威になるの』
今までは数度しか使わなかったからボロが出なかったし、桐皇戦では大ちゃんにドライブそのものを破られてしまったから目立たなかったけど、テツ君のシュート率の悪さがバレればテツ君封じをしてくるのは予想できる。
そしてWC3日目。1.2回戦が全て終わり男女とも32校に絞られた。そしてこの日1日で全てのチームが激突する。あたし達の試合は午後1番だった。観客席には誠凛の皆も、試合がないキセキの世代の皆も、花帆や宗君達までいる。けど今日の相手は普通の中堅校、あたし達は好スタートをきれた。
花帆「朱音ってば余裕じゃん!途中から出なくなっちゃうし」
宗助「やっぱかっけーな!あれ?おーい、赤司ー!」
宗君が叫んだその先に征ちゃん達洛山がいた。征ちゃんはそれに気付き、軽く溜息をつきながらこちらへ向かってくる。そしてその後ろには洛山のレギュラーもいた。
玲央「久しぶりね、朱音ちゃん!それにしても征ちゃんにキセキ以外の友達がいたなんて」
「玲央。口を慎め。それにこいつは朱音の友達だよ」
宗助「朱音の友達は俺の友達だろ?それより赤司、もう試合終わっちまったのか?」
「いいや、これからだ。それより朱音、さっきの試合見ていたよ。相変わらず無駄のない美しいプレイだ」
『ありがとう』
花帆「だって朱音は凄いもん!次頑張ってね、赤司君!私達応援してるから!」
征ちゃんは少し驚いた顔をしていたが、いつものように僕が負けるはずがないだろうと言って、行ってしまった。征ちゃんが照れているだけという事は、言わなくても2人には伝わっていた。征ちゃんの試合を見に行きたいけれど、少しずれて誠凛の試合がある。どちらを応援しに行くのは決まっていた。