第18章 そしてWCは伝説となる
『…どうもです。それで、ここには何しに来たんですか?まさかまた…』
花宮「バァカ、ただの見学だよ。桐皇に勝ったみてーだな」
『…あたしはあなたがてっちゃんにやった事、一生許しませんから』
花宮「そうかよ。じゃあこれで一生朱音の中に俺は居続けるわけだ」
『何が言いたいんですか?』
花宮「…ここまで言ってわかんねーとはな。ま、言っても無駄に終わりそうだから言わねーけど」
花宮さんはいつもの何か企んでいるような顔ではなく、少しさみしそうに笑った。そしてあたしの横を通り過ぎる時、花宮さんはその手であたしの頭をくしゃくしゃと乱暴に撫でた。
花宮「いろいろあったが朱音、俺はお前だけはずっと応援し続けてやるよ。だから、負けんなよ」
『花宮さん!』
花宮「あ?」
『…ありがとうございます。もちろん優勝してみせますよ』
花宮さんは本当に悪い人ではないのかもしれない。もちろんてっちゃんにした事は許せない。けれどやっぱりバスケが好きだから、勝ちたいが為にやった事なのかもしれない。とか言って、また茉実に甘いって言われるんだろうな。あたしは何とも言えない気持ちのまま、大我君に電話をかけた。
どうやら大我君の家で祝勝パーティをやっているようで、言えも近くだから一緒にどうだと誘われた。早くタオルも渡したかったし、何より直接おめでとうと伝えたかった為参加させてもらう事にした。教えてもらった住所に歩いて向かう。その途中で雨が降ってきたが、少し濡れただけで済んだあたしは、大我君のマンションについた。かなり立派なマンションだが、確か前に1人暮らしって言ってたはずこんな大きな部屋に1人で済んでいるのか、お金持ちめ。