第18章 そしてWCは伝説となる
朝にキセキの世代が集合した場所に大ちゃんはいた。
『大ちゃん』
「…朱音か。俺負けちまったわ。俺の力を見せつけてやるなんざ言っておきながらこのザマだ。笑っちまうだろ」
『笑わないよ。あたしは笑わない』
「…なぁ、俺は間違ってたのか?今日のテツを見て思った。あいつは火神と支え合いながらも結局俺に勝った。敗因はその差だったって事だろ?」
『確かにそうだと思う。けど大ちゃんはそれに気付いた。あたしは今はそれだけで十分だと思うよ。それに、あたしが好きな大ちゃんの昔みたいに笑ってプレイする姿がもう一度見れたしね』
「…はっ、何だソレ。やっぱり朱音は朱音のままなんだな。俺にもそれだけで十分だ」
大ちゃんは昔のように楽しそうに笑う。すると体育館の方からさつきが走ってやって来た。あたしがいる事に少しびっくりしていたようだけど、さつきは大ちゃんに向かう。
「もう!すぐ1人でどっか行っちゃわないでよ!ほら、皆のとこ戻ろ!」
「さつきー、明日暇か?」
「そりゃあ…」
「買い物付き合ってくんね?バッシュ新しいの欲しーんだよ。あー…練習してぇ…」
「いいよ…行こっか!大ちゃん!けどご飯奢ってね!」
「あん!?」
大ちゃんは大丈夫。だってこんなにも頼りになるさつきが近くにいるんだから。あたしは2人にもう行くねと告げ、その場を後にする。最後に頑張れよとエールを受けて。帰ろうと思い歩いているとある人物に声をかけられる、花宮真だった。
『…何の用ですか』
花宮「オイオイつれねーなァ。わざわざコレ、届けてやったってのに」
花宮から手渡された物は大我君のタオルだった。どうやら廊下に落ちていたらしかった。