第18章 そしてWCは伝説となる

テツ君のオーバーフローと組み合わせた日向先輩のバリアジャンパーは綺麗に決まり、得点は再び１ケタ差。あのブザービーターを食らっても勢いは死んでいなかった。そして大ちゃんにボールが渡り気付いてしまった。ほんの少しでしかないけど。

『昔の大ちゃんに戻ってる…？』

日向先輩の3Pが決まる。てっちゃんを、皆を信じているからこそあそこまで思い切ったシュートが撃てるんだ。外してもてっちゃんがリバウンドを必ず捕ってくれる、そう信じているから。だけど大ちゃんは止まらない。大我君が抜かれヘルプに入ったてっちゃんにフェイクをかけ、ファウルを貰いながらもシュートは入る。つまりバスカン、３点プレイ。

桐皇学園にチームプレイの意識は無い。超個人技重視の故に味方と協力したり息を合わせたりする事はまずない。だがそんな彼等にも共通の意識はある。それは勝利への渇望とエースへの絶対の信頼。フリースローを２本とも決め、差は縮まらない一方で時間はどんどん過ぎていく。

藍「木吉先輩、火神君、黒子君のトリプルチーム！？」

『大ちゃんの本当の怖さはどんな体勢からでも決めてくる圧倒的なシュート力。それが後半に入ってから未だ止める事が出来てない。いくら誠凛が決めても点の取り合いでは決して差は詰まらない。つまり大ちゃんを止めなければ誠凛に勝ち目はない、その結果のトリプルチームだよ』

３人は大ちゃんにかなりの圧力をかけてくる。大ちゃんのバスケにパスの選択肢はない。１番効果的な攻め方のはずが、大ちゃんは横に動きフリーになった。しかし大我君が一度わざと抜かれて大ちゃんの死角からブロックを狙う。誰もが止めたと思ったブロックを、大ちゃんは空中で体勢を変えかわした。そしてそのままシュートを狙うがそのボールはリングを潜らなかった。

優希「あの青峰君がシュートを外した！？」

『まさか…テツ君が！』

凜子「けど黒子君のオーバーフローを使って視線を集めても一瞬でしょ？それだけで青峰君が外すなんて信じられない」