第18章 そしてWCは伝説となる
そして試合は流れていく。さつきのデータを取り入れたバスケの前に誠凛は打つ術がなかった。第3Q残り3分をきった状態で14点差にまで差は開いていた。観客からも桐皇の勝ちで決まりだなとの声が多くなってきている。
茉実「ちょっと!意地見せなさいよ誠凛!まだ勝負はこれからでしょうが!黒子君も幻の6人目なら何とかしてみなさい!」
『茉実!やめなさい』
茉実「何よ!朱音まで逆転は無理って言うの!?」
『そんな事思ってない!』
いきなり大きな声を出したあたしに、周りの一般人まで静かになる。あたしはゆっくりと話した。
『そうじゃない。けどコートを見て。今のテツ君を』
藍「!黒子君のマークが戻ってる…」
優希「ミスディレクションが…切れた」
雅「そんな…もう何も出来ないの!?」
捺美「朱音!何かあるよね!?」
『…あたしの中に1つだけ引っかかってる事がある。何でテツ君は第3Qの頭から出て来たか』
茉実「?そりゃあ青峰君に対抗するためでしょ?」
『確かにその通りなんだけど、第1Q、第2Qの頭も出ていたのにミスディレクションの効果が回復するはずもない。それに2回目以降やる相手には只でさえ効果が半減するのも分かってる。あまりにもテツ君を投入するのが早すぎる』
藍「なるほど…じゃあ黒子君には何か策があるって事?」
『あたしの仮説の中でなんだけど、あるにはあるの。けどこれは成功するかも分からない上に、何よりこの試合以降に誠凛が桐皇に勝つ可能性はなくなると言ってもいい』
「「「「「えっ…」」」」」
あたしは先日、てっちゃんから聞いた話を思い出す。あれは帰り道の事だった。