第18章 そしてWCは伝説となる
そして第3Q、テツ君はもう出てきたがいくらなんでも早すぎる。だけどさっきみたいに取り乱しているわけでもなかった。そしてもう1つ気になるのが大ちゃん。
捺美「青峰君、凄く楽しそう」
『大ちゃんは今、自分の全てを出せる相手をやっとみつけたから。多分彼は嬉しくてしょうがないんだよ』
優希「じゃあ黒子君が出てきたのは?」
『それはあたしにも分からない。けどテツ君はこの試合に相当入れ込んでいるから、何か策はあると思うよ』
花帆「何でそんなに?青峰君って人と何かあるの?」
『テツ君と大ちゃんは中学時代のパートナーなの。今の大我君のような光の相棒。大ちゃんは今でさえああなっちゃったけど、昔は本当に楽しそうに純粋にバスケをしていた。そしてテツ君がバスケをやめようとした時に引き留めてくれたのも大ちゃんだった。テツ君はそんな大ちゃんのバスケが大好きだったし、何より2人自身が楽しんでいた。けどある時を境に大ちゃんは変わってしまった』
花帆「バスケが嫌いになっちゃったの?」
『大ちゃんは強くなりすぎたために、周りに張り合える人がいなくなっちゃったんだよ。練習しなくても、本気を出さなくても勝ててしまう。そんな状況の中でバスケは只の暇潰しになってしまった。そしてテツ君は影をやめた。テツ君は自分が大ちゃんに勝つ事でもう一度昔の大ちゃんが戻ってくるって信じてるの。昔みたいに笑ってバスケをする大ちゃんが。だからテツ君にとってこの試合は特に負けられないの』
そして桐皇ボールから始まり、初っ端から大ちゃん対大我君。けれど勝負はあっさり決まった。前半ですでに全力かと思われた大ちゃんの動きはまた一段と速くなっていたため、大我君は反応出来なかった。せっかく流れが出来ていたのにすぐに奪われる、そう思った時にはテツ君が大ちゃんをファウルによって止めていた。今の動きは抜かれたのを見てからヘルプに行ったとしても間に合わない。コースを読んだ動きだった。
「青峰君に僕の動きが分かるなら逆も言えるでしょう?過ごした時間は一緒です。つくづくバスケだと気が合いますね、青峰君」
「…やってくれんじゃねーか、テツ!」
それからテツ君はボールを持ったかと思えばドライブをする事も変則パスをする事もなく大我君に渡す。でも次はイグナイトにより日向先輩へ。そして3Pが決まり後半最初の得点は誠凛が捕った。