第18章 そしてWCは伝説となる
花帆「どうして!?絶対に止められないんじゃなかったの?」
『大ちゃん今、目閉じてた…確かに大我君を見なければ反応が遅れる事はないけど…まさかテツ君の呼吸やリズムを感じて動いたってわけ…?』
雅「そんな事出来るの!?」
『大ちゃんとテツ君は昔、光と影だった。何よりバスケに至ってはもうこれ以上ないほど息は合ってた。そんな2人なら…』
捺美「朱音…」
第1Qを同点に終えたと言っても誠凛は全力を出し切っていた。けれど桐皇はまだまだ。誠凛は精神的、肉体的にも全くと言っていいほどゆとりは無かった。その中でも切り札とも言えるテツ君の敗北。チームへの動揺は計り知れない。早くTOを取って流れを変えなければ、同じ事を思ったリコさんが動くがまだボールは生きている。そんな中まだ前にいるてっちゃんや日向先輩のマークが外れていないのに、テツ君は廻によってパスを通そうとする。その前に大ちゃんが立ちふさがり、今度は片手で止めて見せた。
「同じ技が俺に2度通用すると思ったかよ。あんまり失望させんなよ、テツ。こんなモンが俺を倒すために出した答えなら、この際ハッキリ言ってやる。そりゃ無駄な努力だ」
大ちゃんはそのままドライブで切り込む。大我君がゴール前で待っていたけどフォームレスシュートによってかわされる。いよいよTOが欲しい時なのにまだ時計は止まらない。テツ君が破られてから約1分後、ようやく時計は止まった。テツ君は悔しそうに握り拳を作る。ここからはっきりとは見えなかったけど、確かにテツ君は泣いていた。
「無駄なわけねーだろバカ。皆信じてるぜ、お前は必ず戻ってくるってな。今度はもう降りるのは無しだ。その間に俺がアイツに教えてやるよ。無駄な努力なんざねぇってな」
『大我君…テツ君を支えてあげてね』
あたしは心の中で大我君にありがとうと伝えた。大我君のおかげでテツ君は救われた。そしてまだ戦える。あたしだって信じてるよ、テツ君は必ず戻って来るって。だからそれまでお願いね、大我君。