第5章 帝光中にて
次の教室に行くとその変化は訪れた。
「あれ?赤司っちじゃないッスか!どうしたんスかー?もしかしてサボりッスか!って隣のめっちゃんこ可愛い女の子は誰なんスか!?まさか赤司っちの彼女…!」
「あ、赤ちーん。どうしたの、こんなところで。お菓子でも持ってきてくれたの?」
「涼太、敦。今は授業中だ。静かにしろ」
と一言だけ残して次に行く赤司君。後ろから赤司っちー!という叫びにも似た声が届くが、そんなのはお構いなしのようだった。彼らもきっとバスケ部の仲間なんだろうと思った。
それから次の教室では青髪の肌の色が少し黒い男の子が眠っているのを確認すると赤司君は溜息をついた。次の教室では水色の髪をした少年を見るように言われ、目が合った。互いに軽く会釈をすると赤司君はその場を離れた。もちろんあたしも着いて行く。
どうやら赤司君が紹介したかったのは緑間君と桃井さんだけだったらしい。けれど顔だけはわかるように教えてくれたのだから、彼は結局優しいのだ。もちろん究極の照れ屋と究極の俺様がもれなく付いてくるけど。
それからはひたすら歩いて、100か所以上もある巨大な校舎を巡りに巡ったのだった。
控室に着くと、生徒会のメンバーはそこにいた。そして藍が思った通り抱き着いてきた。
藍「朱音!大丈夫だった?何もされてない?ごめんね、私が寝ちゃったばっかりに…」
『藍、大丈夫だから。ね?』
藍の背中をよしよしと撫でていれば、力なくうん、とだけ答えてあたしから離れた。
早瀬「案外早く終わったな。どーする会長?」
『そうだね、長らくお邪魔するわけにもいかないから、そろそろ帰ろうか』
「僕は別にまだいてくれて構わないよ」
『ありがとう。けどあたしたちご飯も持ってきてないし、まだ授業が残ってるから。また今度』
赤司君は分かったというと自分の携帯を取り出した。
「ならば連絡先を交換しておこう。これから当分顔合わせはない。けど互いの進行状況を理解しておいたり、分からないことががあった時に困るだろう」
赤司君の提案に異論はなく、会長が代表してという形で赤司君と連絡先を交換した。