第18章 そしてWCは伝説となる
『このトレーニングはファルトレクって言って、変化に富んだ地形である自然の中を走る事で全身を使い、総合的な体力アップが出来ます。景虎さんが言ったように全員フィジカルはアップしてるんですがまだ筋肉が固い。鍛えた筋肉を使うためにはそれを上手く使うための体が必要になりますから、このファルトレクによって筋肉を柔らかくして馴染ませる事が目的でしょう』
日向「…よく知ってんな」
木吉「智也さんはそれはもう優秀なトレーナーだからな。ずっと一緒にいた朱音にも分かるのかもな」
『それはお兄ちゃんに直接言ってあげてよ。それよりも、早く捕まえましょう』
あたし達は3時間みっちりケードロを行い走り続けた。いくら体力アップしたと言えども慣れない土地を走るのはきつかった。体育館に戻ると景虎さんが男子、お兄ちゃんがあたし達についてくれた。あたしがお兄ちゃんの事を見ていたように、兄いちゃんもあたしがバスケをやっている姿をずっと見てきた。それに人の体を見るのは得意中の得意。これならバスケをやった事のないお兄ちゃんでも、今まであたしが気付かなかったことでも見抜ける。お兄ちゃんは1人1人にアドバイスをしてくれた。そして練習の途中に景虎さんに呼ばれる。
景虎「久しぶりだな、朱音ちゃん」
『お久しぶりです。お兄ちゃんがいつもお世話になってます』
景虎「相変わらずしっかりしてるな。智也とどっちが上なのかわかんねーな。それより、朱音ちゃんの眼から見てあいつら、どうだ?」
『そうですね…正直言ってまだキセキの世代のいるチームと渡り合うのはきついです。でも景虎さんが全員に武器を持たせてくれるんですよね?』
景虎「…参ったな、やっぱり気付いてたのか。だが俺は教えるだけだ。上手くいくかどうかはあいつら次第だよ。まぁ朱音ちゃんがコーチとしてついてくれれば早く仕上がるんだがな」
『御冗談を。あたしもチームを引っ張る身ですから出来ませんよ。それより女子の方はどうだと思いますか?一応答えは出てるんですが自信なくて』
あたしと景虎さんは1人1人に必要なスキルとそれの攻略法を確かめ合った。そのほとんどの内容は同じもので、景虎さんもそこまで考えてるなら十分だと言ってくれた。後はお兄ちゃんと一緒に効果的なトレーニング法を決めるだけだった。