第18章 そしてWCは伝説となる
そして翌日、思いのほか体が軽くなっていた。昨日聞いた限りてっちゃんの膝も良い感じらしかった。顔を洗おうと洗面所に向かっていると、荷物を持った大我君に会った。
『あれ?大我君もう帰るの?』
「朱音!朝から早えーな。ちょっとアメリカにいた時の師匠の所に行ってくる。監督も同意済みだ。それより朱音、ちょっとこっち来てくれねーか」
『?何?…わっ!ちょ、大我君!?』
あたしは大我君の腕の中にいた。抵抗しようとするけど大我君の力は強く、身動きが取れなかった。あたしは諦めて大我君に抱きしめられたままじっとしていた。暫くすると大我君はゆっくり体を離した。
「悪ぃ。ただなんとなく不安になっちまって…俺がもしWCまでに強くなる事が出来なかったらって考えると…朱音抱きしめたら安心したよ。よくわかんねーけどよ、朱音がいれば何でも出来そうな気がするんだよな」
『大我君…あたしはいつでも大我君の味方だよ。大我君なら絶対に大丈夫、あたしが保証するよ。それにそんなウジウジ考えてるなんて大我君らしくないよ!』
「そうだな!じゃあ行ってくらぁ。朱音も頑張れよ」
『大我君もね。行ってらっしゃい』
大我君は走って行ってしまった。それから今はその1時間後。旅館を後にして帰ろうという事になったけど、どうやらこのまま体育館で合宿を行うようだ。今日と明日は祝日と開校記念により休みだったから丁度いい。体育館に移動してバッシュに履き替える。だけどそれは止められた。
景虎「あー待て待てお前ら。バッシュはまだ履かんでいい」
リコ「パパ!」
兄「よっ!」
『お兄ちゃん!?』
小金井「監督のお父さん!?」
伊月「若槻のお兄さんまで!?」
景虎「お義父さんと呼ばれる筋合いはねぇ、景虎さんと呼べ!」
兄「俺だってお義兄さんと呼ばれる筋合いはねぇ、智也さんと呼べ!」