第18章 そしてWCは伝説となる
藍「何でここに…」
「たまたま近くで練習試合してて、たまたま温泉でも入ろうってなったら、たまたまそこに誠凛の皆さんがいただけだよ」
『それってたまたまじゃないよね。ここにはあたし達とリコさんしかいない。それをさつきは皆さんって言った。それって知ってなきゃ分からない事でしょ?』
「…さすが朱音ちゃん、やっぱり頭いいなー。それにしてもやっぱり気持ちいー!なんか最近肩こりとか酷くて。リコさんはそーゆーの無さそうで本当羨ましいです」
笑顔でいうさつきに比べ、リコさんの顔には怒りマークが浮き出ている。あたしは苦笑するしかなかった。けれどさつきの、桐皇の行動が引っかかる。どうしてわざわざ誠凛がいるこの場所、このタイミングで来たのか。それを尋ねるとさつきは少し笑って答えた。
「実は伝えておきたい事があって。発表はもう少し先ですけどちょっとしたコネでWCの組み合わせを手に入れました。どうやら1回戦、桐皇対誠凛になったみたいですよー」
リコ「なんですって!?」
優希「1回戦で同じ県の代表校同士は当たらないはずじゃ!」
『普通はね。けど特別枠で出場する学校は例外なんだって』
「その通りです。テツ君は好きですけど、だからこそ今度も絶対に手は抜きません。初日で終わってしまうのは残念ですけど、いい試合しましょうね」
リコ「つまり負けるわけない、そう言いたいわけね…随分上から物言ってくれるわね!なめんじゃないわよ!うちの男達だって柔じゃないわ。首洗って待ってろ!」
リコさんは勇ましく言うと1人で上がってしまった。残されたあたし達女バスとさつき。さつきの話によると今日の練習試合の相手は誠凛とIH予選で戦った丞成高校。そしてその結果が170対39で桐皇の圧勝。予想はしていたけど、ここまで強くなっているとまでは思わなかった。誠凛が強くなったのと同じく全ての学校が強くなっている。IHからWCまでは半年という長い時間が過ぎているんだ。同じ全国大会でも全てのチームが数段レベルアップしてくる。
「大丈夫だよ!私には朱音ちゃんが負ける所なんて想像つかないんだから」
『ありがとう、さつき』
けどやっぱりもう1段でもレベルアップしたい。少しでも。